ZESDA's blog

グローカルビジネスをプロデュースする、パラレルキャリア団体『NPO法人ZESDA』のブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


SSAJ(在日シンガポール留学生)×ZESDA×CISA 交流会

11月12日(土)青山のオーバルビルにてSSAJ(在日シンガポール留学生会)の皆さまと交流会を開催いたしました。

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前半のディスカッションテーマは「就活」。

カジュアルなQ&A方式でディスカッションをスタート。

留学生の皆さんからの質問に答えたり、さまざまな業界で働くZESDAメンバーが自身の経験を語ったりと、活発な意見交換が行われました。


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日本人学生でも、外国人留学生であっても、やはり大学生はどのように就活をすべきかに不安や疑問を持っているのだなと感じるのと同時に、
新卒一括採用にとらわれない、日本企業の新しい人事採用・働き方の必要性を感じた社会人も多かったのではないかと思います。


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そして後半は、SSAJの皆さまが持ち寄ってくださった、手づくりのシンガポール料理を囲んでの懇親パーティー!
日本でも人気があるチキンライスや、ココナッツミルクから作られたジャム「カヤ」を使ったサンドイッチやケーキに舌鼓を打ちました。

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今年度ZESDAでは、留学生の皆さまや日本の大学卒業後に日本企業で活躍されている外国人の皆さまとの交流を活発に実施いたしました。
それによりさまざまなネットワークが育ちつつあります。そのつながり・知見を活かし、新たな活動も多数動き出しています。

どうぞ今後のZESDAにご期待ください!

Social Impact for 2020 and Beyondに参加しました!

Social Impacr for 2020 and Beyond

2016年11月13日(日)@渋谷ヒカリエ

我々ZESDAは、「発想を次元に変えて、共に仕掛ける未来へ」をテーマにしたイベント、Social Impact for 2020 and Beyondに参加してきました。

※イベントのプログラムは下記リンクをご参照願います。
http://etic.or.jp/socialimpact/

オープニングセッションでは、マネックス証券(株)の松本CEOや渋谷区長の長谷部氏、(株)ワークライフバランスの小室社長が登壇し、それぞれの事業や今後の計画ついて、10分間程度のプレゼンテーションをされました。
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その後、今後様々な分野で事業を興し、発展させる努力をしている方々(挑戦者)を囲んだグループワークに参加しました。

グループワークの目的は、上記の挑戦者が設定した課題に関し。様々な分野で活躍する参加者同士でディスカッションを行うなか、未来の社会モデルを描いたムーブメントを育むことです。

イベントへの参加を通じて感じた事は、「企業や行政の枠を超えた、新たな仕組みを創出し、ビジネスに繋げていく」ことを目指している人々が老若男女全ての層に存在し、その数も侮れないという事です。

参加した私達は社会人生活に慣れ、そろそろ新しい事に挑戦しようとZESDAに参画し、僭越ながら比較的「先進的」なサラリーマンと自負しておりましたが、日曜日の夜に約800人が蠢いている会場にいると、自分が数の子の一粒のように感じました。

挑戦者の居る空間、非常に刺激的で有意義でした。

Dr. Robert D. Eldridge (法政大学 沖縄文化研究所 国内研究員、元米国海兵隊太平洋基地政務外交部次長)より 「2016年米国大統領選を理解する(Making sense of the 2016 U.S Presidential Election)」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第30回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ株式会社自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。


11月11日(金)の 7:30 から 9:00 までの時間帯で開催した第30回PIPDセミナーは、第28回セミナーで「沖縄問題の真実―米国海兵隊元幹部の告白―」をテーマにお話いただいたDr. Robert Eldridgeを再度ゲスト・スピーカーとしてお招きし、「2016年米国大統領選を理解する(Making sense of the 2016 U.S Presidential Election) 」をテーマにお話し頂きました。なおDr. Robert Eldridgeは、在日米軍沖縄海兵隊司令部の元高官であり、現在、沖縄問題を中心に様々なメディアを通じて出版、執筆、翻訳活動を展開されています。

冒頭、Eldridge氏は、「自分は昨年の今頃、まさかトランプとヒラリーが共和党民主党の大統領候補となるとは予想していなかった。しかし、トランプ勝利という大統領選の結果自体は、私にとって驚きではない。

彼女の敗北は実は、民主党の候補者を決定する7月のPrimary(予備選)で既に決まっていた。なぜなら彼女は、対立候補であったバーニー・サンダース氏の票を、不正に横取りしたからだ」と静かに、しかし、はっきりと所見を述べられました。その上でEldridge氏は、「自分はトランプ、ヒラリーのいずれも支持しておらず、二大政党のどちらにも与していない」と、ご自身のポジションを明らかにされたうえで、今回の大統領選挙の結果をもたらした要因について、以下のような見解を示されました。


◆一般市民の不満と高まる反エリート主義:
まず、アメリカの一般市民が政府に対して極めて高い不満を持っていること、にもかかわらず、都市部で活躍するエリート層が、市民の不満に対してあまりに鈍感であることを挙げられました。例えば、現在アメリカでは、1%の人間が99%の富を保有し、50%の子どもが貧困状態にあり、69%の家庭が1,000ドル未満の貯蓄がないそうです。中間層も縮小の一途をたどっています。
こうした状況において、縁故主義(cronyism)的手法で公的地位を濫用して私腹を肥やしているとみられたヒラリー氏への一般有権者の嫌悪感は高まっていったとのことです。また、7月に行われた民主党予備選挙において、ヒラリー陣営が民主党執行部の一部と結託し、サンダース氏の選挙運動を妨害したり、不正に投票を操作したりしたことを示す大量のEメールでのやりとりがWikileaksによって暴露されたことも、「やはりヒラリーは既存のシステムを濫用する汚職にまみれたエリートである」とのイメージを強めたそうです。
こうした中、「“反知識人”、“反エリート”を標榜したトランプは、その精神的不安定さや政治家としての経験値の浅さ等にもかかわらず、“まだましな候補”として最終的に勝利をおさめたと考えられる」。Eldridgeはこのように選挙結果の背景にある米国社会の状況を紹介された上で、「トランプ氏の乱暴な言動は一般大衆のフラストレーションを、ある一面では代弁していると見ることができる」とも指摘。この点に関して著名な映画監督であるマイケル・ムーア氏が、「トランプは既存のシステムに投げ込まれた人間爆弾だ」と表現したことを紹介されました。また、御自身がトランプ氏の出身であるニューヨーク州の隣であるニュージャージー州の出身であることに触れながら、「おどしやハッタリを織り交ぜたトランプ氏のしゃべり方や態度は、特にその地域の中高年の男性たちに典型的に見られるものなのだ」、という興味深い指摘をされました。なお、Eldridge氏が先月高校の同窓会に参加した際、同級生に対して「誰に投票するか」と尋ねたところ、10人中7人が「トランプ氏に投票する」と答えたそうです。


◆アメリカの二大政党制の機能不全、そして既存権力とメディアの結託:
今回の選挙は、“酷い(mean)トランプ”と、“悪い(evil)ヒラリー”との争いであったという評価があります。そして、アメリカの有権者は、“mean”と“evil”の間で選択をしなければなりませんでした。実際、多くの世論調査で、ヒラリー、あるいはトランプを支持する最大の理由として、「相手の候補者が嫌いだから」が挙げられていました。この点、Eldridge氏は初代大統領のジョージ・ワシントンが「二大政党制が我々に与える選択肢は幻想(Illusion)となりかねない」と警鐘を鳴らしたことを紹介し、「正に現在のアメリカ政治は、共和党民主党がコインの裏表のように一体で違いがなくなってきており、有権者に意味のある選択肢が与えられていない状況となっている」と指摘されました。

併せてEldridge氏は「特に主流派メディアは都市部に根ざしており、都市に住む高い教育を受けた一部の人間の声しか代弁できていない。こうしたメディアは、平均的なアメリカ人、つまり、地方に住む高い教育を受けていない多くの層の現状や心情を分かっていない。それどころか、見下している傾向すら見受けられる」と批判されました。またCNNやその株主であるTime Warner社、コムキャストやNBCテレビ等、主流メディアの多くが、ヒラリー陣営に多額の政治献金を通じて肩入れしていたこと、このために選挙予想や報道や偏った、そして誤りの多いものばかりになったと強調。そして「日本のメディアの米国に関する報道は、アメリカの偏ったメインストリームのメディアの報道をコピーしているものばかりだから、日本に現状は正しく伝わらない」と指摘されました。


選挙制度を巡る問題点:
ヒラリーの全米での得票数がトランプを上回ったにも関わらずトランプが勝利したのは、米国の殆どの州で、過半数の「選挙人(Electoral Collage)」を確保した候補者が、全ての「選挙人」を総取りできるという選挙制度が理由であるとEldridge氏は指摘されました。そのうえで「公平性の観点から問題がある既存の選挙制度は、将来、より比例代表的な制度に変わるかもしれない」と述べられました。但し、単純多数決の積上げ方式には、人口が相対的に少ない州の声を大統領選に反映し難くなる、という問題があります。この点、Eldridge氏は、ネブラスカ州が採用している「Constituency System」、即ち、州を区分けした選挙区ごとに「勝者総取り方式」で選挙人を割り当てるという制度を現実的な妥協案として紹介されました。但し、この制度にも、影響力のある候補者が、自身に有利になるように恣意的に選挙区の境界線を決めてしまう、いわゆる「gerrymandering」のリスクがあるようです。

Eldridge氏は「アメリカは二大政党制であると言われるが、実は20もの政党がある」ことを紹介されました。例えば、内科医のジル・スタイン氏が率いる「Green Party」や、元ニューメキシコ州知事のゲーリー・ジョンソン氏を大統領候補に指名し、小さな政府を徹底的に追及する政策で戦った「Libertarian Party」」等が挙げられます。これらの政党には熱心な支持者が少なからずいるものの、一般には殆ど認知されていません。これには「少なくとも5回の主要な世論調査で15%の支持を集めた候補者だけが公開討論に参加する資格が与えられる」といった参入障壁や、メディアの偏向報道が影響しているとEldridge氏は指摘されました。


◆米国有権者の今後の課題:
Eldridge氏は、今回の選挙によってアメリカ社会の分断が明らかになるとともに広がってしまったことに懸念を示された上で、「我々は今後、“アメリカ人”として連帯しなければならない」と強調。その上で、トランプ氏の言動にはファシスト的要素が見られると指摘した上で、「結託する既存エリートによる支配を終わりにしたいという、民主主義の弱体化を防止するための今回の行動が、民主主義の更なる弱体化を招くことがあってはならない。新しい大統領が誤ることがあれば、我々が教え、誤り続けるようであれば、しっかりと拒否の意志を示すことが必要だ」と力強く伝えられました。また、こうした状況で重要なこととして、「有権者の選挙への参加率を高めていくこと」であるとEldridge氏は力説されました。この点、現在米国の登録有権者の割合は、若年層及び低所得者層で低迷しており、18-24歳の有権者は46%、年収3万ドル以下の労働者については37%しか有権者登録をしていないそうです。

また、前述のように、メインストリームのメディアはもはや大衆から信用されておらず、身近な存在ではなくなってしまっていることを踏まえ、これからは一人一人がオルタナティブなメディアの影響力が高まるように行動し、二大政党以外の政党を育てることが必要である、とも指摘されました。そして、「アメリカの政治を立て直す上で、個人的に最も重要と考える課題は、大企業による政治献金の規制である」と強調され、プレゼンテーションを締めくくられました。


◆質疑応答:トランプ新大統領の今後の政権運営について
「トランプは共和党有力議員からもかなりの批判を浴びていたが、今後の政権運営は可能なのか」との質問に対してEldridge氏は、「お互いにしばらくは心理的に居心地の悪い思いをするかもしれないが、二年後の中間選挙での勝利に向けて、協働していくだろう」と答えられました。また新トランプ政権は、上下両院とも共和党が多数派を握ることから、政権運営はむしろスムーズとなり得ること、また、最高裁判所の判事の現状の構成が、保守派4名、革新派4名、空席1名となっている中、トランプ氏が保守的な傾向のある候補を指名し、上院がそれを承認すれば、最高裁も保守的な傾向が強まる可能性があると指摘されました。併せて、「孤立主義外交」を標榜するとみられているトランプ新大統領は、米国による近年の他国への軍事干渉に疲弊している軍部からはむしろ歓迎されるのではないか、との見解も示されました。

また、トランプ新政権における閣僚メンバーや補佐官人事に注目が集まるところ、特に日本大使については、安全保障のスペシャリストが就くことが望ましい、との意見が示されました。この点、トランプ氏は前回訪問時のバブル期の日本のイメージを持っており、「お金があるにもかかわらず基地負担についてはただ乗りしている」というイメージを持っているのではないか、との見方も示されました。この点、日本とアメリカの距離感についても、トランプ氏の言動はぶれが大きく、常に緊密な距離感を取ろうとすると、振り回されることとなると思われるため、アメリカとの距離感の取り方についてはよく考えるべきとのことでした。

最後まで質問が尽きることなく、議論が大きく盛り上がる中、今回のセミナーは幕を閉じました。

なお、今回も株式会社Click Net 社長の丸山剛様、並びに社員の皆様のご厚意で、セミナー会場として同社が主宰する「まなび創生ラボ」をお貸し頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。有り難うございました。

Mr. Jim Clifton (ギャロップ 会長兼CEO)より 「世界の職場改革 ~女性の大躍進~」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第29回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ株式会社自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。


10月29日(土)の16:00から17:30までの時間帯で開催した第29回PIPDセミナーは、Gallup社のCEOであるMr. Jim Clifton をゲスト・スピーカーとしてお招きし、「世界の職場改革~女性の大躍進」をテーマにお話し頂きました。

◆ Gallup社について
冒頭、Clifton氏は、1935年に米国の統計学者であり実務家でもあったジョージ・ギャラップ氏によって設立されたGallup社のミッションについて、以下のように伝えられました。「“民主主義とは人々の意志である”とすれば、誰かが“人々の意志がどこにあるのか”を見出す必要がある。さきほど「PIPDは、政治・経済・社会のIssue(課題)について問題意識を深める場だ」という説明があったが、何がIssueなのか、市民が何を考えているかについて、国のリーダーが取り違えると、むしろ世の中をおかしくしてしまう。」

Gallup社はこうした問題意識の下、様々な世論調査や分析を行い、現在では、米国のみならず世界20カ国に構える30の事務所を通じて、主要なグローバル課題に関する市民の声を政策担当者へと届けています。

◆ 人々の価値観」の変化について
Gallup社が長年行ってきた調査に、「あなたが欲しいものとは?(what you want?)」という問いかけがあるそうです。Clifton氏は米国においては、歴史的に、人々が「欲しい」と考えるものは、自由、独立、平和、家族、そして「良い仕事」へと変化してきたと紹介されました。

この中で、Clifton氏は、「自分にとって、最も大切な、人生の目的といえるものは家族であり、家族がいなければ自分を幸せにはできない」と語られ、「これはベビー・ブーマー世代の特徴でもある」と指摘されました。一方で、2000年以降に社会人になった、いわゆる「ミレニアルズ」は、自分や身近な家族への貢献では足りず、「社会にとって意味のあるよい仕事を出来るか」が重要になってきていることが、統計的に示されていることを示されました。

◆ 仕事を巡る価値観の変化
以上を踏まえ、Clifton氏は、さらに興味深い調査結果を紹介してくださいました。
自分の仕事に対して、意味や意義、すなわち、エンゲージしている者の割合は15%であり、エンゲージしていない者の割合は60%、逆に全くエンゲージしていない者の割合は25%、というデータです。「全くエンゲージしていない」層は、仕事において目的やミッションを感じていないと考えられます。他方、「エンゲージしている」層は、新規顧客の開拓やビジネスの創造をリードする生産性の高い人たちです。
この点、GDPを人口で割ることで示される「生産性」についてみると、アメリカの生産性は、この20年間下がり続けているそうです。また、IPOの数も、2年前は280件、1年前は140件、今年は70件と、毎年半減しています。
Clifton氏は、こうした統計データを示しながら、「仕事の目的やミッションを強く感じられる人間を職場で育てていかなければ、生産性も技術革新も高まらず、結果、GDP成長も低調なままであろう」と警鐘を鳴らされました。

◆ 求められるマネジメントの変化について
Clifton氏は、職場で求められるマネジメントのあり方も、ベビー・ブーマー世代とミレニアルズとで様々な変化が見られると指摘されました。例えば、働き手が仕事に求めるものについては、「給料額」から「目的やミッション」に、「個人的な満足(休暇の長さや福利厚生の手厚さ)ではなく「自己の成長」に変わってきているそうです。

また、上司との関係についても、「一方的に指示や指摘を与える存在」から「自分を育ててくれるコーチのような存在」に、上司と部下とのコミュニケーションについても、「年に一度のパフォーマンス・レビュー」から「日常的・継続的な会話」へとシフトしています。

また個人の成長に当たって重視されるべき点も「弱点の克服」から「強みの把握と発揮」へと変わってきているそうです。ここでClifton氏は、「弱点は強みになることはない一方、強みは人生を通して無限に伸びていく。また、弱点は人に補ってもらう事も出来る。だから、弱点自体は問題ではない」と指摘されました。こうした変化については、会場からは学校教育におけるシステムとも結びついたものでは、という指摘もなされました。

◆ 管理職に占める女性の割合について
続いてClifton 氏は、管理職に占める女性の割合の国際比較のデータを示されました。世界の平均が43%、中国は35%、韓国は28%であるのに対して、日本はわずか11%という結果です。なお、この割合は中東の保守的なイスラム教国であるイエメンと同程度であるということです。また、アメリカは世界の平均と同程度であり、アジアで女性管理職割合が高い国としてタイが紹介されました。

◆ ディスカッション
Clifton氏からのプレゼンテーション終了後のディスカッションでは、特に日本の女性管理職の相対的な少なさとその原因や対応策を中心に、参加者同士のインタラクティブなやりとりがなされました。

「アメリカの管理職に占める女性の割合は、少し前は今の日本と同じような状況だったと思うが、今現在の世界の割合と同程度という状況に至るまでに何が障壁だったのか、女性を管理職に登用していくに当たっての障壁は何か」、という質問に対しては、「男性は女性管理職が増える結果、どのような影響が自身や組織に起こるか分からないため、不安なのではないか」という意見が出されました。他方、こうした不安感は日本男性特有のものではなく、ある程度どの国でも共通している傾向ではないか、という意見も出されました。
さらに、日本の家庭・家計における妻の役割や権限が非常に強いことなど、労働市場とは異なる役割を、社会・家庭で男女が果たしてきたことが指摘されました。こうした傾向を背景に、女性は男性よりも、「家庭か、キャリアの追求か」の選択を迫られることから、将来管理職となるいわば候補者の母数が少なくなってしまっており、結果として管理職も少ないのでは、という意見も出されました。

また、管理職に一定数に女性が就くようにする「割当て制度(Quota制度)」はうまくいくかという質問もなされました。これについては、意図は理解できるが、適材適所の観点からは疑問という意見が出されました。


今回は、1時間半のセミナー修了後も1時間程度、ソフトドリンクとお菓子を用意した懇親の時間を持ち、Clifton氏から示された様々なデータや問題意識をもとに、活発な意見交換が参加者の間で交わされました。

なお、今回も株式会社クリックネット 社長の丸山剛様、並びに社員の皆様のご厚意で、セミナー会場として同社が主宰する「まなび創生ラボ」をお貸し頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。有り難うございました。

10月22日開催「第2回 ZESDA交流会 グローバル社会と日本人の可能性 〜世界に手が届く場所で〜」

 私たちNPO法人日本経済システムデザイン研究会(ZESDA)は、2016年10月22日(土)日本経済大学大学院246ホールにて、「第2回ZESDA交流会」を開催いたしました。

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 第一部では、ZESDA代表 桜庭より、「グローバル社会と日本人の可能性 〜世界に手が届く場所で〜」と題した基調講演を行いました。

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 桜庭は、2014年8月から2016年7月にかけて、イギリスにおいて2年間の留学生活を送りました。スコットランドの独立とイギリスのEU離脱に対する国民投票という歴史的な瞬間に立ち会いながら、留学1年目はLSEで最先端の規制分野について学び、2年目はOxford大学でModern Japanese Studiesについて研究をして参りました。Oxford大学では、カレッジと呼ばれる38の学生寮のうちの1つに所属し、カレッジにおいて毎週のようにFormal Dinner & Party(晩餐会)が開催され、晩餐会が4回も席替えがある「社交場」として機能している様子、そして、いわゆる上流階級の英国エリートは「カネ・コネ・チエ」の全てを兼ね備え、富と影響力を掌握している姿を目の当たりにしてきました。

 このような環境の中で、2年間のイギリス留学を経た桜庭は、「日本が『今、英国に学ぶべきこと』とは『コモンウェルス』である。」という結論に達しました。イギリスは、コモンウェルスとして53カ国・22億人の首都たる地位を築いており、他国を「実験の場」としてトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、より良い結果を自国に取り入れる仕組みを発展させています。このようなイギリスのコモンウェルス機能より着想を得た桜庭は、以下のような「日本版コモンウェルス構想」を提案します。

  • 国ではなく「個人」単位のコモンウェルスであること
  • 世界中の「日本ファン」を「優遇」することで形成されること
  • 日本と母国の架け橋になる人々との連携が不可欠であること

 そして、このたびの第2回ZESDA交流会は「日本版コモンウェルス構想」に基づいた試みであるとして、第二部では、留学生を囲み、彼ら・彼女らが「日本で驚いたこと」をきっかけとして、母国におけるビジネス・アイディアを創発する「ニーズヒアリング・ワークショップ」を実施しました。ワークショップの終了後は、各チームよりビジネス・アイディアを発表していただきました。アフリカからの留学生に対するニーズヒアリングでは、日本の住環境は「うさぎ小屋」と例えられ、海外からのマイナスイメージが強いと思われがちなところ、人口密度の増加が予想されるアフリカでは、空間の使い方や収納の工夫など、コンパクトで機能性が高い日本の住環境がフィットする可能性が高く、ビジネス・チャンスとなり得ることが発表されるなど、海外の方々の視点を通して日本の魅力が再発見された実りの多いワークショップとなりました。

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 第三部では、ZESDAと関連の深く、日本と世界の架け橋たることが期待される3団体より、団体の主旨や取組み内容を紹介していただきました。文科省奨学生ネットワーク(MSN)代表の李ロイズ氏より、今年の4月に立ち上げたばかりのMSNの設立目的と今後の展望について、そして、在日ペルー人学生・卒業生協会(APEJA)代表のCesar Diez Pachas氏より、日本語とスペイン語の語学力を活かした在日ペルー人の活躍の可能性について、ご発表をいただきました。また、長澤薫氏からは、世界最大の若者サミットである「One Young World」の活動についてご紹介いただくとともに、「私たち若者世代は、日本や世界に対して今すぐにでもやるべきことがある、大人になるまで待ってなどいられない」という強い意思を共有いただき、会場は熱い熱気と拍手に包まれました。

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 最後に桜庭は、日本は「極東」という言葉に表されるように世界最果ての国ではあるが、今回のテーマである「グローバル社会と日本人の可能性 〜世界に手が届く場所で〜」という副題が示している通り、本交流会において、我々はすでに「世界に手が届いている」状態にあることを大いに実証したとして、本会を締めくくりました。

 交流会後の懇親会では、和やかな雰囲気の中、国境を超えた活発な議論が交わされました。

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 今回のイベントにご参加くださいました皆さま、そして、ご発表をいただきました関連団体の皆さま方に、ZESDA一同、深く感謝申し上げます。これからもZESDAは、さまざまなイベント・活動を行ってまいります。今後も益々のご支援・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。