ZESDA's blog

グローカルビジネスをプロデュースする、パラレルキャリア団体『NPO法人ZESDA』のブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


スリランカアーユルヴェーダ体験記②

ZESDAブログをご覧のみなさま

ロンドン支部長の松枝薫(まつがえかおる)です。

本日はアーユルヴェーダの歴史についてお話したいと思います。


アーユルヴェーダとは?~
日本では美容系の雑誌等で紹介されているようですので、オイルを使った若返りマッサージやヨガの一部?のように思っている方もいるのではないでしょうか。



施術後にはこれらの効果もあるので、上記の解釈は必ずしも間違っているわけではないですが、アーユルヴェーダとは、一般的にサンスクリット語で「生命」「寿命」を表す「アーユル」と、「科学」を意味する「ヴェータ」で、つまり「生命の科学」ということになります。現地のアーユルヴェーダの医師はもう少し深い言葉で、「Longevity(長寿) of Science(科学)」と言っていましたので、「長寿の科学」とも言えますし、マッサージよりも深い何かがあることは間違いないでしょう。


アーユルヴェーダ施設に植えられている植物。朝露や雨上がりが特に綺麗で癒されます。


アーユルヴェーダの歴史~
インドのブラフマンヒンズー教で宇宙の最高原理とされる)がインドの神々に口伝し、聖なるヒマラヤに集まった聖者達が口伝された内容を編纂したものといわれ、現存する伝統医学の中で世界最古だと世界保健機構(WHO)も認めています。

(紀元前3000年ごろ、インダス川流域で高度な文明が存在していたモヘンジョ・ダロの遺跡から、アーユルヴェーダの薬として使われたものが出土していた)。また、三蔵法師、お釈迦様(ゴーダマシッダールダ)なども学んだとされており、特にお釈迦様はアーユルヴェーダに詳しく、相談に来た人の病気を治し、悟りを開くために活用していたともされています。各国の仏教伝来と共に世界へ伝わり、日本でも奈良の正倉院アーユルヴェーダの薬草やスパイス、種々薬草帳が保存されているとのことです。実はアーユルヴェーダは日本人にとって、とてもゆかりがあるものなんです。


さて次回はアーユルヴェーダ体験についてお伝えしていきたいと思います。

スリランカアーユルヴェーダ体験記①

ZESDAブログをご覧のみなさま

ロンドン支部長の松枝薫(まつがえかおる)です。

今後定期的にこのブログにて、イギリスでの日常生活の様子、イベント、
また現地で出会ったユニークな方々を紹介させていただきたいと思います。


と言いながらなんですが、今回はロンドンの話ではなく、スリランカアーユルヴェーダ(インド発祥の伝統医療で約5000年の歴史を誇る)についてお伝えさせていただきたいと思います。このスリランカでの体験は、ZESDAの活動の地方創生、医療システム勉強会にも参考にできるところが多く、また日々の身体の不調を感じている方、仕事のパフォーマンスを上げたい方にも有効であると体感しましたので、ぜひご覧になってみてください。

~なぜ、スリランカ アーユルヴェーダ?~
かねてから個人的に興味のあったスリランカアーユルヴェーダを3週間受けに行ってきました。アーユルヴェーダはインド発祥の医療ですが、スリランカアーユルヴェーダを受けに行った理由は、近年インドのアーユルヴェーダは患者に必要がない治療を行う施設もあり、治療自体が硬直化していると伺ったので(もちろん適切に治療を施す施設も多くあるとと聞いています)、より外国人向けに柔軟に対応をしてくれると聞いたスリランカに行くことにしました。スリランカは基本的には仏教徒の国ですので、ホスピタリティも高く温和で親切な方が多くいました。


▲訪れたスリランカアーユルヴェーダの施設。自然溢れる建物と夕日が非常に美しく心身ともにリフレッシュできる

そもそもアーユルヴェーダって何?という方も多くいらっしゃると思いますので、次回はアーユルヴェーダの説明をさせていただきます。お楽しみに。

Dr. Nancy Snowより 「世界に対して日本のことをもっと伝えていくためにはどうしたらよいか? 」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第37回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ の協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。


7月14日(金)7時30分より開催された第37回PIPDセミナーは、広報外交の研究者で、京都外国語大学の教授のDr. Nancy Snow氏をお招きし、“How Japan Can Better Tell Its Story To The World.”というタイトルでお話し頂きました。
スノー博士の近著、「JAPAN’S INFORMATION WAR」のオーサートークの後、博士が用意した問いをもとに、参加者同士でディスカッションを行い、とてもインタラクティブな会となりました。
「JAPAN’S INFORMATION WAR」には、日本が自国について世界へ発信し、より深く世界と関わっていくためのアイディアが綴られているそうです。「WAR」という言葉は「戦争」というよりも、中国、韓国、東南アジア諸国との「競争(competition)」をあらわしているそうです。

スノー博士は、日本はアジアのライバルたちの間でより突出した存在であることをブランディングする必要性を訴えていました。また「WAR」という表現は、博士の代表作である「Information War(邦題:情報戦争)」に引っ掛けて採用されたそうです。

次に、民間人による”story telling(物語を伝える)”の大切さについて博士は訴えました。現・安倍内閣は世界に対し”Abenomics”や”Womanomics”など日本を印象付けることに一定程度の成功を収めたが、まだまだ世界での存在感はそのポテンシャルに比べるととても小さい、安倍首相の伝える日本のみが先行しそれ以外の日本の魅力が世界に届いていないと訴えました。
世界が知りたい『物語』は、それぞれの地域や人が作り出す実感に溢れた話や、一人ひとりの国民が語る日本のことであるとのことです。より世界に日本を印象付けるためには、国際的に活躍できる日本人を増やすとともに、日本の魅力を語れる能力を育てることであると述べられました。

以上の問題意識を元に、”What are Japan’s stories to the world?( 世界に伝えたい日本の『物語』は?)” “What are the most prominent Japanese values?(日本の最大の価値とは?)”という問いが観客に投げかけられました。
4~5名の小さなグループに別れ話し合い、内容を共有しました。日本の魅力は「平和」や「安全性」、トヨタに代表されるの「カイゼン」というマインド、新幹線の清掃員の無駄のない仕事ぶりなどが挙げられました。

トヨタや新幹線の事例は理想的なマネジメントとして世界でも高く評価されているが、いずれも日本人が自ら気づいたものではなく、他の国から指摘されて知ったものであるという意見も出されました。
これらの議論を受けて、スノー博士や会場からは、日本での快適な生活から離れ、外国へ行くことの必要性、英語でのディスカッションやダイアローグ、プレゼンテーションの機会を持つ重要性が共有されました。

会場にご協力頂いた株式会社クリックネット様にこの場を借りて、御礼を申し上げます。
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プロデューサーシップとは何か? 如何にすれば、それを知ることができるのか?(プロデューサーシップ・シンポジウム報告)

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去る5月27日(土) 〈研究・イノベーション学会、映像メディア学会 合同シンポジウム(ZESD共催)〉『プロデューサーシップ、ローカルコンテンツと地方創生』が開催されました。

冒頭、数名の方の基調講演の後、前半は、主にプロデュース理論を中心として、また、後半では実際に事業を展開されている方々による具体例を交えた起業および事業の実践論などがシンポジウム形式で討議され、来場者とも活発な議論が交わされました。

論じられたテーマや実際のプロデュース体験談など、非常に多岐に渡るため、ここでは、その個々の細かい部分について報告は割愛されていただき、一聴講者として全体の感想などを述べさせていただきます。

本シンポジウムのタイトルは『プロデューサーシップ、ローカルコンテンツと地方創生』というテーマです。ここで一つ、気づく点として、なぜ敢えてローカルコンテンツなのか?という点と、なぜ、今、地方創生なのか?という点です。

本シンポジウムのタイトルに沿った形で、桐山登士樹氏の「デザインによる富山県プロデュース」や、「熊本の味を世界に発信」というテーマで発表された重光悦枝氏、中東に日本の食文化と伝統工芸を組み合わるという合わせ技で「日本文化」を売り込むことに成功した石田和靖氏などをはじめとした、様々な事例が紹介されました。また、登壇されたそれぞれの方々の豊富なプロデューサー経験に基づいた「プロデュースとは、そもそも何か」というテーマで活発な討議がなされました。

また、プロデュースそれ自体に関する様々な論点について、以下のような発表をいただきました。

菱沼宏之氏からは、プロジェクトの旗振り役としてのプロデューサーの役割の重要性についてのご説明をいただきました。
原島博氏からは、ご自身の長年の豊富な経験から、プロデューサーとして立つ3つの条件として⑴人的ネットワーク力、⑵未来へのビジョンが描けること、そして⑶人徳の重要性が挙げられました。
島田一雄氏からは、学生を対象とした「衛星設計コンテスト」の企画運営を通じた25年にわたる理系人材教育の実践を通じ、プロデュース活動における夢とロマンの重要性について述べられました。
また、中原新太郎氏からは、日本的組織風土が如何にプロデュース活動の疎外的状況を作り出しているのか、それを打破するための提言などが述べられました。
当団体(ZESDA)の桜庭代表からは、プロデュースにおけるカタリスト(触媒)となる人材の機能について理論的に整理したプレゼンを行い、それについてもパネリストとの活発な討議がなされました。


改めて本ブログ筆者なりに、そもそもなぜ今、「プロデュースの意味」についてこれほどまでに関心が持たれるのか、ということについて以下のように考えてみました。

(1)会社・役所などの組織の中でただ与えられたことを受身的にこなすのではなく、もっとそこで働く個人が主体的かつ前向きにものごとに働きかけて、社会にとって必要とされるような存在となってゆくという姿勢が求められている、ということ。

(2)いままでのように組織に埋没した形で、あるいは、ただ世の流れの中で、惰性的に社会生活、仕事、あるいは市民生活を続けていって良いのか、という疑問と、漠然とした不安の存在。

(3)そのような時代状況になかで、もっと深く何かを主体的に創造すること、その重要なキーワードとして、プロデュースという言葉と、果たしてそれは本当のところ一体何なのか、という答えを探りあてたい、という欲求の高まり。

以上のような理由からではないでしょうか。

今回のシンポジウムでは、長年プロデュースの第一線で活躍されてきた方々のプロデュースとは何か、ということについての経験的実感について鋭い切り口で述べられていたことが印象的でした。

これらのお話をお聴きした中で、本ブログ筆者が気づいた大まかな点としては、以下です。

(1)プロデュースの成功には、プロジェクトを取り巻く様々な条件、例えば、時代状況や、それを実現する上での人材を得ているのかどうかや、何よりもベストのタイミングでそれを行っているのか、などのプロデューサーの実力もさることながら天運などの要素も大きいということ。

(2)ことを為すことにより、結果的に後から振り返ってみた時に、自分がプロデューサーであったことに遅れて気づく、といういこと。つまり或ることを目標にプロデュースをやろう、という目的論ありきでプロデューサーになるのではなく、やってきたことを後から振り返ってみると当該の仕事が恐らくプロデュースといえるものであったことがかなりある、ということ。(丸山茂雄氏のプレゼンより)

(3)プロデュースという行為、あるいはプロデューサーになること、について理論化することはできない。プロデュース行為のあまりにも多くの事柄が、言語化できない暗黙知次元の要素によって構成されており、人は現場での実践を経験することでしかプロデュースの本質を理解できないし、そもそもプロデューサーになることもできない。

主には、以上の3点であろうかと思いました。

大谷由里子氏は、プロデューサーとなること、プロデュースすることとは、生死をかけた次元からくる心の底から湧き上がる熱い情熱と自己の本心にそこはかとなくある核としての欲望を再確認し自覚することが何をおいても第一である、と述べられました。ある種の限界状況に身を置くことをイメージでもって想起して、臨場感の中で真剣に考える、ということが必要であると。その一つの方法として、大谷氏が主催されている志縁塾(次世代のためのプロデューサー養成のための私塾)の授業の一環で、戦跡などを訪れ、そのようなものが感じられる歴史上の生々しい素材に敢えて直接向き合うことで学びを得ている、とのことでした。

そして何よりも、明確な答えを得ることがなかなか困難な対象である「プロデュースとは何か」というテーマについて問い続けることと、ただ考えるだけではなく具体的実践の場面で、自分の可能性と制限性の範囲内ではありますがプロデュースに一歩足を踏み出すこと、試行錯誤を前向きに捉えて挫けることなく積極的に小さなプロデュース経験を積んでいくことが何よりも重要である、ということへの気付きを得ました。まだまだ不確かではありますが、それの地道な積み重ねにより、いずれ大きな機会が訪れた時の成功の肥やしとなると思われました。

恐らく、このような会に参加することにより目には見えない形ではありますが、プロデュースについて少しずつイメージを形成していくことは、今後の大きな収穫得ることが出来るためのキッカケとなります。

そのような意味で、本シンポジウムに参加した意義は大いににあったと思います。また、機会ある毎に、つとめて参加する意義は十分にあると思いました。

Mr. Karthik Varadaより 「持続可能な開発目標」を達成するために、なぜ革新的な資金調達とインパクト投資が重要なのか?」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第36回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。


6月10日(土)15時より開催された第36回PIPDセミナーは、東京大学の博士課程を専攻しながら笹川平和財団に勤められているKarthik Varada氏をお招きし、”Why Innovative Financing and Impact Investing is important to achieve the Sustainable Development Goals?”「『持続可能な開発目標』を達成するために、なぜ革新的な資金調達とインパクト投資が重要なのか?」についてお話し頂きました。
冒頭、Karthik氏は①持続可能な開発目標(SDGs)②ソーシャル・ファイナンス/インパクト投資の概要について、約20分間紹介されました。

①「持続可能な開発目標」
Karthik氏は、「持続可能な開発目標(以下、SDGs。)」とは、2015年に国連で採択された、2030年までに達成することを目指す全人類や地球のための17の目標と説明されました。その上で、発展途上国・先進国双方の目標であるSDBsの達成には、

1)公共部門、民間部門の垣根を超えた、分野横断的な協力関係をつくること、
2)達成に必要とされる資金(年間3兆9千億ドル)と、現時点での実際の年間投資額(1兆4千ドル)の間にある約2兆5千億ドルのギャップを埋めること、
の二点が重要な課題と指摘。この点、SDGs達成のために活用されている民間資金は、現状わずか1%程度であるため、効果的な民間資金の動員や現在世界に存在する資産のうち1%(2.5兆円)を毎年追加で発行することにより、財源問題を解決し、SDGsを達成するうえで不可欠と主張されました。

②ソーシャル・ファイナンス/インパクト投資
Karthik氏は、ソーシャル・ファイナンスインパクト投資は、金銭的リターン得ることを目的とする従来の出資・融資と、寄付や慈善事業の中間に位置するものであると説明されました。すなわち、寄付や慈善事業とは異なり、社会的成果のみならず金銭的なリターンも求めること、また、従来の投資と異なり、金銭的なリスクテイクに見合うリターンを得ることに加え、社会環境の改善という社会的インパクトの要素を加味したものであると指摘されました。

ここで、15分間のグループ・ディスカッションの時間を持ち、私達がこれまで見聞きしたことのあるソーシャル・ファイナンスインパクト投資の事例について、参加者同士で意見や知識を交換しました。

セミナー後半では、Karthik氏から日本とインドにおけるソーシャル・ファイナンスの具体例が紹介されました。日本の事例としては、公共部門に民間資金を動員しインパクト投資を促進する「SIIF(Japan Social Impact Investment Foundation)」や、がん検診受診率の向上のためのソーシャル・マーケティングという公益事業を提供している「キャンサー・スキャン」というベンチャー企業が、債券発行を通じて銀行等から動員した資金で事業を行い、一定の成果を達成した場合に、事業者に代わって政府が債券投資家にリターンを支払う「ソーシャル・インパクト・ボンド」の例が挙げられました。


インドにおけるソーシャル・ファイナンスの事例としては、日本業から出資を募り、現地の社会起業家に投資を行うARUNの活動が紹介されました。

ここで、再びグループ・ディスカッションを行い、参加者同士で、ソーシャル・ファイナンスによって改善しうる社会問題や、個人がソーシャル・ファイナンス促進に貢献する方法についてそれぞれの意見や想いを共有しました。

プレゼン終了後の質疑応答では、「インパクト投資は従来の投資と比べて、同じかそれ以上の利益を生み出すことはできるのか」等の質問が出ました。これについてKarthik氏は、マイクロファイナンスの事例等も紹介しながら、「これまでマーケットとみなされていなかった分野を事業化することで、インパクト投資が従来型の投資に見劣りしないリターンを得ることも可能である」と説明されました。

SDGs達成のために官民協働を発展途上国、先進国の双方において世界規模で展開することの重要性や、ソーシャル・ファイナンス/インパクト投資を自分事化し、私達が今から出来ることに関する熱い対話は最後まで続きました。セミナー終了後には、そんな熱気の籠った会場から近隣の洒落たバーに移動し、Karthik氏、PIPDスタッフ、参加者がセミナーの振り返りをしつつ、お互いの親睦を深める熱い議論を続けました。

最後に、本PIPDセミナーにおいても会場に協力頂いた株式会社クリックネットまなび創成ラボ様に、この場を借りて御礼申し上げます。
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