ZESDA's blog

グローカルビジネスをプロデュースする、パラレルキャリア団体『NPO法人ZESDA』のブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


地方創生!長野県川上村をプロデュース! 全国的に注目を浴びる、その取組みとは?


(川上村の位置する信濃川上駅)

地方創生の注目舞台

新宿駅から電車を乗り継ぎ約3時間。都会の喧騒から離れて広大な自然と畑が私達を出迎えます。訪問先は、日本一のレタス生産地として名高い長野県南佐久郡川上村。この場所で、私達、NPO法人ZESDAの副代表理事、西尾友宏氏(川上村副村長 兼 政策調整室長)の取組みが地方創生の良好事例として全国的に注目を浴びています。約2年前に農林水産省から派遣された西尾氏は、川上村の現状と課題をどのように捉え、「プロデューサー」として手腕を発揮してきたのか。川上村のキーマンたちとの交流を通じて、地方創生の鍵を探ります。

・2年前の記事はこちら
・西尾氏の役職詳細はこちら

川上村が所在する信濃川上駅(JR東日本)に降り立った私達一行は、同氏からこれまでの取組みの説明を受けるため、村役場の講堂に移動します。

(講演する西尾氏)

女性のための村づくり

西尾氏が強調する地方創生のキーワードは「女性」です。

「人口減を解決するためには、女性にとって暮らしやすい村づくりをしなければならない」

川上村は、米軍向け食糧供給庫として、朝鮮戦争時に大きくレタスの生産量を伸ばしました。標高が高く、また、都市部から近い立地を強みに、多くの農家が誕生し、1農家あたりの平均年収は、2,500万円を超えて「奇跡の村」と呼ばれるに至りました。一方で、レタス栽培は男性の肉体労働に頼らざるを得ない側面が強く、時代の流れは女性を都市部へと流出させます。女性が減少するに伴い男性の未婚率は上昇し、人口減につながりました。

西尾氏の発想がユニークであったのは、都市部に流出した川上村出身男性の恋人や配偶者に着目した点です。多くの男性が、進学や就職で川上村を後にするものの、家業を継ぐために、いずれは村に戻ってくる傾向にあります。男性の恋人や配偶者にとって、川上村は定住に値する場所か。生活に不満がある女性ほど、子どもが少ない傾向にあることが調査により判明したといいます。暮らしやすさの決め手は、女性が自信を持ちながら生活できるか否かであると、西尾氏は説きます。

(川上村のレタス畑)

「男性がレタス栽培に精を出す一方で、子育て等を通して、女性は多くの他の価値観に触れる生活をしている」

時代は、大量生産から、イノベーション創出に軸足を移しつつあります。西尾氏は、レタス栽培の主要産業としての位置付けを維持しつつ、女性の持つ多感性・多様な経験が、村の一層の活性化を促すと考えました。女性が新たなビジネス等の価値創出に貢献することで自信を持ち、男性と対等に生活できるようになることが、定住につながると信じたのです。

“求む!ビジネスアイデア

「はじめに着手したのは、ビジネスアイデアコンテストの開催です。」

西尾氏は、農林水産省からの派遣という立場を活用し、政府関係機関や民間企業をスポンサーにつけて、ビジネスアイデアコンテストを開催しました。最優秀賞に輝いたのは、夫が農業を継ぐことを理由に川上村へ移住した女性でした。私達は、西尾氏の取計らいにより、当人の川上知美さんにお会いし、お話をお伺いすることができました。

(ご自身のご経験をお話される川上さん(手前は川上さん開発の「ハーブコーディアル」))

「やるからには、1位を目指すつもりで頑張ると夫に伝えました。」

川上さんは、賞金による事業化も視野に入れながら、練りに練ったビジネスプランを提出しました。プランの作成中は旦那様が言葉少なげに見守ってくれて、その気遣いが嬉しかったと言い、はにかまれました。最優秀賞を獲得したときには、旦那様は驚いた様子で一緒に喜んでくれたといいます。

(KAWAKAMI IDEA FOREST アイデア コンテスト 2017)

プロデューサーとしての支援

川上さんは受賞後、村外で講演する際に、行政や金融機関から十分なサポートが得られず、起業に至ることが出来ないという声を多く聞きました。西尾氏が身近にいて、多分野にわたる助言や、関係機関への橋渡し等をしてくれたからこそ、川上さんは事業を今日展開できるに至ったといいます。

「西尾さんには、商品に必要な白樺の樹液を採取することから手伝ってもらいました」

白樺は地域財産区管理の山林のため、樹液を採取するための許可が得られずに川上さんが困惑する中、西尾氏が管轄の林野保護組合に直接働きかけをしてくれたといいます。また、西尾氏は自身の経歴を活かし、補助金の申請先や申請方法について知識や繋がりを積極的に提供するようにしました。ほかにも、商品の加工先を探す際には、西尾氏が少量発注可能な業者を一緒に探してくれたり、商品の保管場所が不足した際には、他の家庭の冷凍庫を貸してもらえば良いと助言をくれたりしたおかげで、つまずきかける度に安堵し、前進することができたと川上さんは話します。

(行政による支援の可能性を話す西尾さん)

村の意識に変化が…

川上さんは、ビジネスコンテスト後、村内の女性が徐々に自信をつけてきていると感じています。近所の井戸端会議では川上村の今後の在り方といった前向きな話が出てくるようになり、また、自身の事業化に関する講演の際には、中学生も含めて多くの女性が関心を持って参加してくれるようになったといいます。会合の輪は現在も拡大中で、他地域に川上村の取組みについて出張講演する方も現れ始めました。村全体の意識が変わっていく中で、今後、業容拡大に向けて一層頑張りたいと言い、お子様と一緒にお話の場を後にする川上さんの笑顔が印象的でした。

なお、川上村では、育児や家事の負担を地域内の住人で補い合うシェアリングエコノミーシステムを導入しています。子育て等に追われる女性がビジネスを立ち上げるためには周りの手助けが不可欠です。川上村の取組みは、「地方創生加速化交付金の交付対象事業における特徴的な取組事例」にも選定されています。

(川上村の特産品が陳列される「マルシェかわかみ」。女性のアイデア商品も多く並びます。)

西尾氏は、川上村の「魅せ方」に女性目線を取り入れることで、村外の女性が川上村を身近に感じられるようにする工夫も凝らしています。今年2月11日に開催した20~30代女性を対象にした婚活ツアー「Girls insta tour in KAWAKAMI」は、東京の有名シェフやソムリエ、女性向けの広報等を支援する会社等と連携。婚活ツアーを、お洒落な料理やお酒とともに「インスタ映え」した写真でPRすることで、農村の地味なイメージを払拭するように努めました。また、東京ガールズコレクションでは、PRブースを設置し、レタスを使ったアイスクリーム等を使って川上村の魅力を伝えました。川上村には色鮮やかな農作物の他に、名産の唐松を利用した温かみのある校舎等、PRに有用な素材が多くあります。村内の女性に、自らの感性を最大限発揮してもらい、川上村の魅力を積極的に外部発信してもらうことが、村外から女性を呼び寄せるうえで重要であるといえます。

(「ガールズインスタツアー」(KAWAKAMI SMART PROJECT提供))

最新テクノロジーの活用

「女性」に並び、「IoT」も重要なキーワードの1つです。

川上村では、IoTを積極活用することで、農業生産の効率性を高める「スマート農業」を推進しています。企業や大学からの実証実験を積極的に受け入れることで、通常よりも安価でドローンやパワードスーツ等のIoT関連機器の導入が可能になるといいます。外国人研修生も貴重な労働力ですが、農業は収穫時期が限られているため、年間を通しての研修制度にはそぐわない側面があります。今後は、外国人研修生から、IoT活用による作業効率性の向上に生産力の源をシフトさせていくことで、農作業の肉体的負担を軽減し、後継者が就業しやすい労働環境を整備していきます。

(5年後の川上村のイメージ(KAWAKAMI SMART PROJECT提供))

“未来へつなげ”

実は、これらの取組みを行う西尾氏は、もうすぐ出向制度の任期を迎えようとしています。それでも、西尾氏は、自身が去ったあとの川上村について悲観をしていません。

「成果が十分に出てくるためには、10年単位で時間がかかります。それでも、同僚達に「いまのままではいけない」という危機意識を持ってもらえたことが、今後の取組みの継続性に繋がると信じています。」

継続性の鍵を握る西尾氏の同僚、遠藤さんにお会いし、お話をお伺いしました。西尾氏にとって、危機意識を共にする貴重な仲間です。遠藤さんは、自ら農業を営みつつ、西尾氏とともに村役場の業務に励んでいます。今現在、レタス栽培で十分な収入を得ていることを理由にあぐらをかいてはならないと、西尾氏と声を揃えます。天候等によっては、収穫量が激減するのが農業のリスクであるからです。また、植物工場の増加も脅威の1つです。

(前列左が遠藤さん。遠藤さんの畑では、比較的、高価格で販売可能なサニーレタスを栽培。私達も収穫体験をさせて頂き、みずみずしい自然の恵みに舌鼓を打ちました。)

その場で自然を味わえる体験は、単なる農作物販売で終わらない可能性を秘めています。私達の滞在中も、川上村産の野菜たっぷりのバーベキューを楽しみました。新鮮な野菜とお肉を満腹になるまで食べて、一人当たりたったの2,500円(飲み物代込み)です。バーベキュー会場からは、ロッククライマーにとって名所として知られる絶壁をよじ登る勇ましい人々の姿も目に入りました。川上村は農業だけではなく、観光資源も持ち合わせていて、観光地と農業の組合せが、一層の魅力を創造するのではないかと考えさせられました。

(西尾氏とともにバーベキューと絶景を楽しむ)

西尾氏は川上村で、我々の活動理念である「プロデューサーシップ」を実践し、地域の発展に寄与しています。積極的に助言を行い、人と人(組織)との橋渡しを行うことで新たな価値を創造する西尾氏。今回の訪問で、私達も地方創生に一層貢献するべく決意を新たにし、川上村を後にしました。次に訪問するときには、更に進化した川上村を見られることを楽しみに・・・。

Dr. Karsten Klein(The founder and CEO of KLEIN K.K.)より「サイバーセキュリティへの日本の対応」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第41回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ の協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。

 9月26日(火)7時30分より開催された第41回PIPDセミナーでは、リスクマネジメントを中心とするコンサルティング会社を創設・経営されているDr. Karsten Kleinをお招きし、Cyber security: How Japan can tackle the challenges「サイバーセキュリティへの日本の対応」についてお話頂きました。

 カースティン氏は、冒頭、サイバーセキュリティを取り巻く最近の社会の変化について説明されました。例えば、これまで銀行の各支店は、顧客情報等を紙媒体で記録し、銀行の各支店で管理していました。しかし、インターネットが普及した現在では、顧客情報等は中央に集約されており、集約拠点がウィルス等によるサイバーアタックを受ければ、その被害は甚大なものとなります。また、日本においては、日本語という独特な言語と日本の地理的条件ゆえに海外から標的にされることは少なかったのですが、インターネットが発達し、言語が簡単に翻訳できる現代においては、そのような障壁はなくなり、世界中のどこでもサイバーアタックのリスクが存在すると説明されました。

 また、サイバーアタックに係る脅威シナリオとして、①アクターの存在、②負の影響、③資産への影響の3点を把握することが重要であると説明されました。まず、サイバーアタックの攻撃者の存在として、従業員の不注意などに起因する組織内部のアタッカー、犯罪集団・国家主導の活動、活動家などの組織外部のアタッカーが挙げられました。次に攻撃の結果発生する不利益として、内部情報の流出、不正アクセス、サービス・データの消失などがあり、その結果生じる資産への影響として、秘匿情報や組織としての機能が失われる恐れがあることを述べられました。具体的な例は犯罪組織がつかう「キャンディー・ドロッピング」という手法を紹介されました。会社の入り口付近にウィルスに感染させたUSBを落とし、その会社の従業員が社内のPCに繋げるのを待つそうです。また、デジタルネイティブ世代つまり10代のハッカーたちの興味本位の攻撃なども提示されました。政府や警察などによる対処は限られているため、個々の会社や人が注意し、対策を取らなければいけないと説明されました。

 このように、サイバーセキュリティはあらゆる個人、企業、そして社会にとって重要な問題となっている昨今ですが、これに関し、カースティン氏から含蓄のある言葉を紹介いただきました。
「世界には二つの企業がある。ハックされたことがある企業とこれからハックされる企業だ。今後、このカテゴリーは一つに集約されることとなる。ハックされたことがあり、今後またハックされる企業だ。」

 その後、私たちが直面している脅威について、参加者同士でディスカッションを行いました。顧客情報の流出リスク、アップデート未実施が原因で脆弱となったソフトウェアがウィルスを保有していた事例などが共有されました。

 次に、カースティン氏は、サイバーセキュリティの対策について話を移していきました。サイバーセキュリティ対策を十全なものとするためには、マネジメントの対応とシステム・オペレーション上の対応が必要です。しかし、それぞれについて乗り越えるべき課題があります。
 まず、マネジメント上の課題として、経営層のトップの多くはITに慣れ親しんだ世代ではなく、CIO(Chief Information Officer)やCSO(Chief System Officer)がCEO(Chief Executive Officer)よりも立場が低いために、サイバーセキュリティ対策予算が十分に確保されないという点を指摘されました。このため、経営層においても、ITなどの新しいテクノロジーを受け入れる姿勢を持つことが重要になっています。また、多くの企業は社会的な評判が下がることを恐れて、サイバーアタックに係る情報を公表・共有することを避ける傾向がある点を指摘されました。このような情報の共有は、社会への被害拡大を防ぎ、対抗策を検討する上で非常に有益であるため、積極的に情報を共有することが時には必要だと述べられました。
 次にシステム・オペレーション上の課題として、IoTのように社会のあらゆるものが相互に繋がっていること、情報システムの構築サービスを提供するシステムインテグレーターが交渉力の点で顧客よりも優位に立っていること、特に日本において古いソフトウェアを更新せずに利用し続ける傾向にあること(Legacy System)によるリスクが挙げられました。

 最後に、サイバーセキュリティ上の課題を乗り越えていくために、私たちが組織として、あるいは個人として、何をすべきかを参加者同士で議論しました。
 カースティン氏のプレゼンテーションと参加者同士の議論を通じて、参加者それぞれが、サイバーセキュリティの脅威とそれに直面する私たちが持つべき心構えや対策について、認識を深めることができました。
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 本PIPDセミナーにおいても、会場にご協力頂いた株式会社クリックネットまなび創生ラボの皆様に厚く御礼申し上げます。

「トーキョー会議2017」のご案内 9月30日(土)13:00~18:00@大手町3×3Lab Future

この度当団体は、MSN(文科省奨学生ネットワーク)、CISA一般社団法人在日本留学生会協議会)、とともに「トーキョー会 議2017」を共催いたします。
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トーキョー会議は、グローバルな視野と多様なバックグラウンドを持った人々がアイデアを持ち寄り、日本の国際化にともなう社会的問題について議論するイベントです。

東京に住むグローバルな市民の皆さんに、市民対話を通じてコミュニティに貢献するための道を提供することを目的としています。
http://tokyokaigi.net/about/

今回は「都市の未来」をテーマにパネルディスカッションとワークショップを行います。

《パネルディスカッション登壇予定者》
▪︎宇野常寛氏。批評誌『PLANETS』編集長、評論家。
▪︎東浦亮典氏。東急電鉄執行役員
▪︎Nhu Quyhn Tran 氏。元AYNJ-アセアン・ユース・ネットワーク・ジャパン 会長。
▪︎Dennis Chia氏。Soseiパートナーズ創立者。株式会社BOUNDLESS代表取締役社長。
▪︎Cory Baird氏。Tokyo Interlopers 共同創立者

《ワークショップ》
・外国人向け住宅市場
・コミュニティの場の創生
・日本の人材採用の慣習
を議題に各テーブルに分かれてディスカッションしていただきます。議論の成果は報告書にまとめて公表し、都にも提出する予定です。

日時・場所・お申込は下記のとおりです。

▪︎日時:2017年9月30日 土曜日 13:00~18:00(12:30開場)
▪︎場所:3x3 Lab Future(大手町)
〒100-0004
東京都千代田区大手町1-1-2 大手門タワー・JXビル1階
東京メトロ東西線・千代田線・半蔵門線丸ノ内線都営三田線
大手町駅」(C10出口)より徒歩約2分
http://www.ecozzeria.jp/about/accessmap.html
▪︎服装:スマートカジュアル
▪︎言語:日本語・英語(ディスカッションの際はどちらかを選択できます。)
▪︎参加費:学生 500円 社会人 2,000円(受付で現金にてお支払いください。)
※お申込:こちらからお願いします。
https://goo.gl/forms/uXD57O3SjHtwttvg1

例年100人を越える参加者があり、専門領域、文化的バックグラウンドは多岐にわたります。議論の場に新しい視座を持ちより、新しい人間関係を構築するきっかけにしていただけますと幸いです。

当日お会い出来るのを楽しみにしております!

▪︎What is TOKYO KAIGI Conference?

TOKYO KAIGI Conference is an annual event that brings together global-minded people from a diversity of backgrounds to share ideas about the social issues that accompany the internationalization of Japan. We aim to provide an avenue for global citizens living in Tokyo to contribute to the community via civic discourse.

▪︎Why attend TOKYO KAIGI Conference 2017

You will get the chance to contribute to a white paper on the theme "The Future of Cities", which will be submitted to the Tokyo Metropolitan Government.

Each participant will join a group discussion on one of the following topics:

  • The housing market for foreigners
  • Creating community spaces
  • Hiring practices of Japanese companies

Participants from a diversity of professional fields and cultural backgrounds will bring new perspectives to the discussion table, giving you the chance to make new connections.

Also, we will have a panel discussion among the following speakers, each of whom plays a part in Tokyo's growth as an international city.

  • Tsunehiro Uno, editor of PLANETS and culture commentator
  • Ryosuke Toura, executive officer of Tokyu Corporation
  • Nhu Quyhn Tran, ex-president of the ASEAN Youth Network Japan
  • Dennis Chia, founder of Sosei Partners
  • Cory Baird, co-founder of Tokyo Interlopers

▪︎Where and when will TOKYO KAIGI Conference 2017 be held?

Date : 30th September 2017 (Sat)
Time : 13:00 ~ 18:00 (Doors open at 12:30)
Venue : 3x3lab Future (Otemachi, Tokyo)
(http://www.ecozzeria.jp/about/accessmap.html)
Attire : Smart Casual
Language: English and Japanese

Participation Fee:
Students → 500 yen | Working Adults → 2,000 yen
(To be paid in cash upon arrival)

We hope to see you there!

※ This event is organized by the following associations:
ZESDA (Zipangu Economic System Design Association)
CISA (Confederation of International Student Associations)
MSA (MEXT Scholars Association)

Ms. Dionne Ng(東京大学教養学部教養学科国際日本研究コース)より「あなたにとって「ことば」とは?東大留学生ディオンが見た「やさしい日本語」」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第40回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ の協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。

 9月10日(日)12時より開催された第40回PIPDセミナーでは、現在、東京大学教養学部教養学科国際日本研究コースで学び、10月から戦略系コンサルティング会社の日本法人に就職予定のDionne Ngさんをお招きし、What does language mean to you? An international student’s view on “Easy Japanese” 「あなたにとって「ことば」とは?東大留学生ディオンが見た「やさしい日本語」」についてお話頂きました。

 ディオンさんは、今年の4月に自身初となる著作、『東大留学生ディオンが見たニッポン』を岩波ジュニア新書より出版されました。本書では、日本語という言語および日本文化の特徴とその背景、日本人の道徳観などに対する深い考察がなされています。今回のセミナーでは、ディオンさんが学生時代に研究された「やさしい日本語」をケーススタディとして、私たちにとって「ことば」とは何を意味するのかについて、参加者同士のディスカッションを通じて向き合いました。

 セミナーの冒頭、ディオンさんから日本人が「ことば」について考える際に大切な3つの視点が参加者に共有されました。その3つの視点とは、「“日本語”とは何か?」「日本社会における外国語の役割とは?」「現代日本社会に必要な“ことば”とは?」です。これらの視点は、セミナー後半における参加者同士のディスカッション時にも意識されました。
 その後、ディオンさんから、①「やさしい日本語」の定義、②「やさしい日本語」の活用、について説明いただきました。

① 「やさしい日本語」の定義
「やさしい日本語」とは、外国人に分かりやすいように簡易化された日本語のことを指します。この新しい「ことば」が生まれたきっかけは、阪神淡路大震災時に外国人被災者が災害情報の収集に苦労されたことに由来します。災害情報が難解な「日本語」を使用していることに加え、当時の未発達な翻訳システムでは日本語の災害情報の英訳に72時間もの時間を要していました。そこで、震災等の緊急事態において外国人が適切な情報を受け取れるコミュニケーションツールとして、弘前大学の社会言語学研究チームによって「やさしい日本語」が開発されました。
「やさしい日本語」は、日本人が日常生活で使用する「日本語」とは以下の点で異なります。
・日本語能力検定3級以下の語彙と文法で文を作ること
・漢字やカタカナの使用は最小限に留めること
・漢字にはふりがなを付し、難しい単語には説明を付すこと
・単語同士の区切りに「ね」を入れることができる箇所にスペースを入れること
等の特徴を持っているそうです。

② 「やさしい日本語」の活用
法務省のデータによると、2016年における在日外国人数は対前年比で約6.7%増加の約230万人となり、日本の総人口の約1.9%を占めています。このような人口動態の変化及び国際化の進展に伴い、日本国内で日本人と外国人がコミュニケーションを円滑に進めるための共通言語の必要性が高まっています。世界標準語である英語ではなく、「やさしい日本語」を共通言語として国内に普及させる理由について、ディオンさんは次のように説明されました。「日本人は、「外国人」と聞くと「英語を話す人」だと連想しがちです。しかし、在日外国人の内訳は、中国人や韓国人等、アジア出身で英語を母国語としない外国人が多数を占めています 。世界標準語である英語を「やさしい英語」に変えて普及するよりも、在日外国人が日本で生活する際に使用する日本語を「やさしい日本語」に変えて普及する方が、災害時の情報伝達に有効です。」と仰いました。会場は、学びに満ちた雰囲気となりました。

 また、「やさしい日本語」の将来的な活用に関し、ディオンさんは「コミュニケーションの方法には、情報伝達や日本の従来型の教育における一方向のものと、日常会話や多文化共生のために必要な双方向のものがあるが、「やさしい日本語」はその前者としての活用が期待されるものの、後者のコミュニケーションツールとしては十分でないと考えている。」と仰いました。その課題として、「日本は、同年代や年下の人間には使わない敬語を目上の人に使う等、人との付き合いにおいて上下関係を強く意識する社会。「やさしい日本語」ではこのような日本独自の文化や慣習に対応しづらいため、日常会話において「やさしい日本語」を使用すると支障をきたす場合もある。」と指摘なさいました。

 後半のディスカッション・タイムでは、小グループに分かれ、①「やさしい日本語」の将来的な実行可能性、②グローバル化における言語の役割、について、参加者同士のインタラクティブな議論がなされました。参加者からは、「「やさしい日本語」は、日本語特有の分かりにくさがない分、外国人が、日本語や日本社会に興味を持ち日本語を学習し活用するきっかけとして、有効なのではないか。」等の意見が出されました。参加者全体の白熱した議論を通じて、改めて「ことば」とは単なるコミュニケーションツールではなく、私たちの文化やアイデンティティを定義づけるものであり、「ことば」が果たす役割と社会との関わりについて参加者間で認識を深めることができました。
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 なお、本PIPDセミナーにおいても、会場にご協力頂いた株式会社クリックネットまなび創生ラボの皆様に厚く御礼申し上げます。

第3回ZESDAゼミナール:「現代の終焉・すぐそこにある未来」

8月26日(土)、日本経済大学大学院246ホールにて、第3回ZESDAゼミナールを行いました。

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今回は、「現代の終焉・すぐそこにある未来」というテーマで、当法人理事の西川から、文化や都市の変遷の歴史考察、最新の技術の紹介等を交えながら、来たる未来への備え方をご提案させていただきました。
また、関連団体等からパネリストを招き、ご来場の皆さまにも参加いただきながら、未来をテーマにディスカッションを行いました。

(以下、当日写真紹介)

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スタッフが準備中。怪しい雰囲気です笑。

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講演開始! スライドの写真を撮っている方も多くいらっしゃいました。
(なんと、50名以上の方がご来場!)

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講演中もパネリストは脇に座り(スクリーン右側)、ひな壇芸人の如くガヤを飛ばします笑。
(左から、ロイズさん、射場本さん、理事長の桜庭、鷹鳥屋さん!)

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講演中の理事西川。パネリストや会場の皆様にも話を振りながら進めます。

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パネルディスカッション。参加者の方々からの質問、ご意見が非常に多く出ました。

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冴え渡る射場本さんのトークにみんな笑顔。

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最後は理事長の桜庭から今後の活動予定等を。会終了後にも、本当に沢山の方からZESDAの活動について質問を受けました。


今後も、ZESDAゼミナールは開講予定です。残念ながらご都合添えなかった皆様、次回のご参加をお待ちしております。

※招待パネリスト紹介
・李ロイズ氏(文科省奨学生協会(MSA)共同創業者、前シンガポール留学生会長、日系大手商社勤務。)
・鷹鳥屋 明氏(中東アイドル。在日本留学生協議会(CISA)中東顧問。現在、WEB雑誌PLANETS(宇野常寛編集長)にて「中東で一番有名な日本人」を月次連載中。) 
・射場本 健彦氏(株式会社ジャパンコネクション代表取締役社長、在日本留学生協議会(CISA)事務局長・理事長、ミャンマー観光業連盟日本事務局長)