ZESDA's blog

日本の技術と世界のニーズをつなげるプロデューサーの支援・育成を通じて日本企業のグローバル競争力の強化を目指すNPO法人ZESDAのブログです。

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山梨学院大学国際リベラル・アーツ学部(iCLA)初代学部長Michael Lacktorin博士より「グローバル社会に真に貢献できる人材を創るには?~リベラル・アーツを学ぶことの重要性~」Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第11回セミナー開催のご報告

 NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、(株)自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。 

 4月17日(金)朝7時30分より開催した第11回PIPDセミナーでは、ゲスト・スピーカーにこの4月よりスタートした山梨学院大学国際リベラル・アーツ学部(iCLA)の初代学部長として活躍されているMichael Lacktorin博士をお招きし、「グローバル社会に真に貢献できる人材を創るには?~リベラル・アーツを学ぶことの重要性~」をテーマにプレゼンテーションを頂いた上で、参加者の皆様と活発なディスカッションを行いました。

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 「リベラル・アーツ教育とは何か?」という問いかけからプレゼンテーションを始められたLacktorin博士は、「リベラル・アーツに相応しい日本語を探すのは困難だ」と述べた上で、「Bridging Right and Left Brain」、「Critical Thinking」、「Students-centered Active Learning」といったキーワードを挙げながら、日本の「一般教養」とは異なるリベラル・アーツ教育の本質を説明されました。

 第一のポイントである「Bridging Right and Left Brain」については、直感、感情、起業家精神、即興といった力を司る右脳と、物事の論理、優先順位付け、構造などを見極める力を司る左脳の双方の発達を促すために、学生達に、多彩な経験と学習を積む機会を用意することの重要性を強調。これを実現するため、iCLAでは、数学、物理、歴史等に加え、芸術、ダンス、彫刻等、極めて学際的なカリキュラムや一年間の留学の機会を用意し、一つの分野に関わる事柄を、他の分野で得た知識やアプローチで考察する力を学生が身に付けるサポートをしているとのことです。Lacktorin博士は、「例えばアインシュタイン相対性理論を思いついたのは、彼がバイオリンを弾いていた時だった」という印象的なストーリーで、右脳と左脳の双方を活性化させることの大切さを強調されました。

 第二のCritical Thinkingについては、「日本語で“批判的思考”と直訳すると否定的なニュアンスがあるが、リベラル・アーツ教育の中核的価値であるCritical Thinkingとは、“なぜ?と問い続ける力”、“自問自答を通じて思考を深める力”である」と指摘。いかなる分野においても、創造的、革新的な価値を生み出していくためには、Critical Thinkingを高めていくことが極めて重要であると強調されました。

 そして、学生がCritical Thinkingを身に付けるためにiCLAが重視しているアプローチが、リベラル・アーツ教育の第3のポイントであるStudents-centered Active Learning。Lacktorin博士は、日本の高等教育は、あまりにもTecher/Professor Centeredであると指摘。学生達のActive Learningを引き出し、Critical Thinkingを高めていくためにも、受動的な聴講スタイルではなく、双方向の議論を通じて学生がお互いに学び合う、セミナー形式を通じた教育が重要であると語られました。また、iCLAは、米国のリベラル・アーツ大学と同様、全寮制であり、自然豊かな山梨の地の利も活かしつつ、教室以外の場所で、学生達がお互いから学び合う機会を大切にしていると説明されました。

 Lacktorin博士は、こうした価値やアプローチを大切にする日本初のリベラル・アーツ学部であるiCLAで学生生活を送ることを通じて、一人一人の学生は、自らの心・技・体を磨きながら全人格を高める(Education of the Whole Person)とともに、自分の適性(Aptitude)と情熱(Passion)とが交差する分野を見極めることができるようになる、と述べられた上で、ご自身のキャリアを振り返りながら、こんな印象的なエピソードを語って下さいました。

 Lacktorin博士は、元々は金融業界で活躍されていたビジネス・マンでしたが、アフター・ファイブや休日に大学等で教える機会が増えるにつれ、「自分が真に適正があり、また熱意を持って没頭できるのは教育ではないか?」と感じるようになったそうです。そして、43歳の時に、ついに金融界を引退し、教育の世界に踏み込んだ動機を、「金融マンとして働いていた時には鳥肌が立つことはなかったが、教壇に立つと鳥肌が立ったから」と語られました。秋田国際教養大学の立上げに続き、山梨学院大学iCLAの立上げと、起業家精神を発揮しながら難題と向き合い続けるLacktorin博士。「確かに、新しく大学を立ち上げるために、資金を集め、教授陣や事務局スタッフを集め、そして学生を集めるのは並大抵のことではない。しかし、自分には鳥肌が立ち続けている。止まることはない」と、ご自身の日々や第二のキャリアを、目を輝かせながら語られるLacktorin博士のメッセージに、会場の熱気も大いに高まりました。

 本年4月に立ち上がったiCLAの第一期生は9名の交換留学生を含む37名、全寮制で学ぶ彼らを助ける26名の教授陣の85%は非日本人。多彩で学際的な140のコースは、そのほとんどが英語で授業が行われますが、なかには日本語で行われる芸術・武術系のワークショップも用意されており、和と洋がバランスよく織り交ぜられながら展開されているそうです。

Lacktorin博士からのプレゼンテーション終了後の質疑応答では、リベラル・アーツ・カリキュラムの社会人教育を含む生涯教育への適用可能性、リーダーシップの発揮とリベラル・アーツ教育との関係等について質疑がなされました。また、「好奇心を継続的に高めていくには、どのような習慣を持つべきか」、「知識の獲得に安易なインターネット検索に頼る最近の傾向(“Googlization”)とどう対峙していくべきか」、そして「より一層グローバル化する社会に適応できる人材をいかに育てるか」といった論点について、活発な議論が交わされました。

 今後もZESDAはグローバル・ネットワークを構築していくため、「Platform for International Policy Dialogue(PIPD)」を共催して参ります。
引き続き、ZESDAを宜しくお願い致します。