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ZESDA's blog

日本の技術と世界のニーズをつなげるプロデューサーの支援・育成を通じて日本企業のグローバル競争力の強化を目指すNPO法人ZESDAのブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


Ms. Avena Tan より 「What does “Global Jinzai” mean? – think together with a young professional from Singapore(グローバル人材ってなに?~シンガポール出身の若きプロフェッショナルと一緒に考える~)」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第32回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ株式会社自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。

2月11日(土)の15時から開催した2017年最初の第32回PIPDセミナーは、シンガポールから上智大学大学院へ進学し、日本の大学生と同じ就職活動を経て、日系商社に入社されたAvena Tanさんをスピーカーとしてお招きし、「What does “Global Jinzai” mean? – think together with a young professional from Singapore(グローバル人材ってなに?~シンガポール出身の若きプロフェッショナルと一緒に考える~)」をテーマにお話しいただきました。

今回も株式会社Click Net 社長の丸山剛様、並びに社員の皆様のご厚意で、セミナー会場として同社が主宰する「まなび創生ラボ」をお貸し頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。有り難うございました。

プレゼンテーションはAvenaさんの自己紹介から始まりました。引っ越しの多い一家で育ったAvenaさんは、中国本土で生まれた後、香港へ移り、何度か引っ越しをしてから、シンガポールへ住むことに至ったそうです。こうした経験は、Avenaさんが後に日本への留学を決意するうえでのきかっけにもなったそうです。
シンガポール人は、同じ環境で、同じ教育を受けて育つため、同質のバックグラウンドを持つことがほとんど」とAvenaさんは指摘します。そうした中、中国、香港、シンガポールと様々な環境で育ってきたAvenaさんは、他のシンガポール人たちと自分との差別化を図りたいと考えるようになり、多くのシンガポール人が選ぶアメリカやイギリスのような英語圏ではなく、日本に留学することを決めたそうです。数ある国の中でも日本を選んだのは、
①当時シンガポールの日本人コミュニティに関わる機会があり、そこで出会った日本人の方々に刺激を受けた、
②日本が東南アジアへ多額の投資を行っていることから、日本企業は自身の経験を活かすことができそうだと考えた、
といった理由があったとAvenaさんは振り返ります。また、Avenaさんは日本の文化にも関心が高く、特に「コタツ」が好きということも、日本を選ぶ決め手となったそうです。

今回のセミナーは、スピーカーであるAvenaさんと昨年夏に2年間の米国留学から帰任したCrossoverスタッフの二宮聖也との対談、そして参加者同士のディスカッションという、これまで以上にインタラクティブな形式で行われました。対談及びディスカッションは、大きく以下2つのテーマに沿って進みました。

【Session1】
What does global Jinzai mean in the Japanese context?
(グローバル人材とはそもそも何か?)

Session1では、「グローバル人材」という言葉に焦点を当て、「そもそもグローバル人材とは何か?」についてAvenaさんと二宮との間で対談を行った上で、参加者同士で「自分はそういう人材か?」、「そういう人材となるには何を変える必要があるか?」という視点で議論を行いました。

対談は二宮からの「なぜ近年、グローバル人材という言葉が話題に上ることが多いのか?」という質問でスタートしました。現在日本の商社に勤務するAvenaさんは、自身の会社を例に挙げながら、海外に多くの支店、支社を持っている日本企業の場合であっても、グローバル人事のシステムがないなど、社内は非常にdomestic(内向き、国内中心)な傾向がみられる点を指摘しました。会社として「現状を変えていこう」という意欲は感じ取れる一方、会社として「グローバル人材」に期待する役割が明確になっていないとも指摘。この点、Avenaさんが上司に「外国人である自分に何を期待しているのか」と尋ねたところ、「日本人のスタッフと同様の役割を果たして欲しい」という返事であったそうです。「内向きな会社の現状を少しでも変えていけるように努力したい」とAvenaさんは笑顔で述べていました。

「グローバル人材を目指す人へのアドバイスは?」という質問に対して、Avenaさんは「“Open Mind(広い心)”を持つことが大切ではないか」と強調されました。また、「そもそも“グローバル人材”という言葉自体、海外では耳にすることがなく、日本国内でばかり語られるはやり言葉ではないか?」と指摘したうえで、以下のように、“グローバル人材”を定義されました。

日本では、“グローバル人材=英語を話す人”、“海外留学を経験したことのある人”、あるいは“日本にいる外国人”を指すように見受けられるが、海外に行ったことのない日本人でも十分、“グローバル人材”になることができる。」
「私が考える“グローバル人材”とは、英語を話せるといったスキル面に由来するのでは必ずしもなく、変わりゆくビジネス環境、人々の考え方に適応していくFlexibility(柔軟性)、Adaptability(順応性)を持った人材ではないか。」

ここで、対談の内容を踏まえつつ、参加者同士で“What does global Jinzai mean in the Japanese context?What do you need to change?”についてのディスカッションに移りました。約10分のディスカッションでは、「海外でも日本人同士で固まってしまう傾向」や、「言語だけでなく、非言語面の文化的なコミュケーションの仕方」についても改善が必要ではないか、グローバル人材を採用する戦略を明確にすべきではないか等の意見が活発に出されました。

【Session2】
How should individuals change to create a better workplace for both foreign and Japanese workers in Japan?
(私たち「一人一人」はどのように変わっていくべきか?)

Session2では「グローバル人材であろうとなかろうと、今後、日本人が外国人と共生していくことが求められる社会において、私たち一人一人がどのように変わっていくべきか」をテーマに議論を行いました。初めに、Avenaさんが日本で過ごす中で感じた日本社会へのフラストレーションや葛藤について、モデレーターの二宮と対談を行い、その内容を踏まえ、参加者同士、私たち一人一人が外国人・日本人の双方にとってwin-winな職場環境、コミュニティを創り出すために、どういうアクションをとっていくべきか、そして「私たち」は明日から何ができるか、という議論を行いました。

初めにAvenaさんから、自身の日本の企業で働く中で感じた葛藤について共有頂ききました。歴史ある日本の商社で働くAvenaさんは、「日本人らしくあること」と、「外国人らしくあること」のバランスを失わないように常に気をつけているとのことでした。つまり、日本企業の本社で働く以上、日本社会に適応していく必要がある一方、自分は「完全な日本人」にはなれず、また周囲からも「完全な日本人」として扱われない中で、外国人としてのバックグラウンドを活かすためにどう振る舞うべきかを考えている、とのことです。

そうした中で、自身が「外国人であること」を周囲に認識してもらい、また、完全に日本人と同様に振る舞うことはできないことを理解してもらえるように努めている、とのことです。例として、社内では、ほとんど敬語を使わないようにしていることを挙げていました。敬語を使っても日本人のような「正しい」敬語ではなく、違和感を与えてしまう、外国人が使っていたら軽く笑われるだけで済むが、日本人が使っていたら間違いなく注意されるような表現になってしまうために意図的に避けていると話していました。一方、日本社会に順応しようと、コーヒーを淹れる、コピーをとる、デスクの掃除等、日本人の新入社員、特に女性が会社の風習として行っていたようなことは積極的に行うことを心掛け、また日本人が行う立ち振る舞いについては常に観察し、勉強しているそうです。他方、そうした日本の文化に順応する姿勢を見せながらも、「“自身はあくまで外国人である”と示すことは忘れないようにしている」と強調されました。

日々、暗黙のルール(protocol, unwritten rule)に気を付けながら生活しているというAvenaさんの話を踏まえ、モデレーターの二宮が、アメリカ留学の際に、自分が初めて社会的少数者(social minority)となったことをきっかけに、同じマイノリティである外国人学生によるグループを組織しアクションを起こした経験を述べた上で、参加者に「How should individuals change to create a better workplace for both foreign and Japanese workers in Japan? What can you do from tomorrow that will make a difference?」と質問を投げかけました。Session1に引き継ぎ、このディスカッションでも各チームで白熱した議論が行われました。

「外国人のスタッフと会話をするきっかけにまず挨拶をしよう」
「日本人、外国人がそれぞれコミュニティを作ってしまう傾向があるので、コミュニティ外でのコミュニケーションを行う」
「外国人(スタッフ)もより日本語を学ぶようにする」

こうした意見が飛び交う中、「普段は英語を話す機会があまりなく、英語に自信がない」というある参加者が立ち上がり「自分に何ができるか考えた結果、まず、この場で勇気を出して英語で意見を発信することから始めたいと思った」という声を会場に響かせました。Session1の議論でも指摘された「まず、自分のmind-setを変えていく」、という「グローバル人材」へのステップを越えていく光景に、多くの人が印象付けられました。

セミナー終了後には、ソフトドリンクとお菓子を用意した懇親会の時間を設け、約40名の参加者及びスタッフがそれぞれ親睦を深めつつ、本セミナーの議論を振り返り、熱い議論を続けました。
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