ZESDA's blog

日本の技術と世界のニーズをつなげるプロデューサーの支援・育成を通じて日本企業のグローバル競争力の強化を目指すNPO法人ZESDAのブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


「プロデューサーシップ~創造する組織人の条件~」 第18回プロデュース・カレッジ 開催報告

猛暑もいくらかやわらぎ、肌寒さも感じ始める今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

我々NPO法人ZESDAは、2015年8月22日に第18回プロデュース・カレッジ「プロデューサーシップ~創造する組織人の条件~」を開催致しました。

講師には、現在、青山学院大学経営学部教授でいらっしゃいます、山下勝教授をお招きしました。

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経営組織論がご専門の山下教授は、近年、「プロデューサーシップ」という新しい概念を提唱されており、今回はこの「プロデューサーシップ」について、先生のご著書をふまえたご講演をいただきました。

プロデューサーシップ 創造する組織人の条件

ZESDAのミッションの中核でもある『プロデューサーシップ』。

山下教授はこの「プロデューサーシップ」を、「人をワクワクさせるようなアイデアを、周りの人をワクワクさせながら実行すること」として捉えられます。



「専門化」が進み「分業」が徹底された現在の日本の企業組織。

そのような環境において、「なにか新しくておもしろいもの」を企業が生み出していくためにはどうすればいいのか?



山下教授は、「営業や開発、生産といった各部門の人たちが、プロフェッショナルとしての各自の専門分野にこだわったまま、自分たちの仕事をただこなしていくような、部分最適的なやり方では難しい」と分析されます。
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このような各専門分野での分業がすすんだ組織のメンバーの関係性である『関係性レベル1』、そしてこれを一歩進めた「ウマの合う、一緒に働きたい関係」である『関係性レベル2』をそれぞれ説明された上で、山下教授は、さらにもう一歩踏み込んだ関係性である『関係性レベル3』、すなわち

仲の良いメンバーがそれぞれの職域を柔軟に組み替えながら、新しい価値を創造できる関係

の重要性を強く主張されます。



「現代の『分業の壁』を乗り越えて、『全体的』な視野を持った人間が、一緒に働く人をワクワクさせながら、ときにはそれぞれの職域に干渉し合い、ときにはその間で起こる衝突を解決しながら、『全体として』ワクワクするものを作り上げていく必要があります。このような「関係性レベル3」を実現し、その中で全体最適的にものごとを動かしてくことこそ、プロデューサーシップを発揮することであり、「プロデューサー」の本当の役割なのです。」




ご講演後には、『プロデューサーシップ』をテーマにしたワークショップが行われ、参加者の皆様には「プロデューサー」となって自分の職場の問題を解決するプランを考えていただきました。
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イベント後の交流会には、山下教授をはじめたくさんの方にご参加いただき、大変有意義な会となりました。

ご参加いただいた皆様、この度は誠にありがとうございました。
また今回、ご講演を快く引き受けて下さった山下教授に、あらためてZESDA一同、感謝申し上げます。

これからもZESDAは今回のカレッジのような様々なイベント・活動を開催して参りますので、応援のほど、何卒宜しくお願い致します。

前駐米特命全権大使 藤崎一郎氏より「21世紀の日米関係」Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第13回セミナー開催のご報告

 NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、(株)自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。 

 5月26日(火)朝7時30分より開催した第13回PIPDセミナーでは、ゲスト・スピーカーに前駐米特命全権大使であり、現在は上智大学の特別招聘教授及び国際戦略顧問、一般社団法人日米協会の会長としてご活躍されている藤崎一郎氏をお招きし、「21世紀の日米関係」をテーマに30分少々お話を頂いた上で、一時間近く参加者の皆様と活発なディスカッションを行いました。なお、本セミナーでゲスト・スピーカーとして日本人の方に登壇をお願いしたのは今回が初めてですが、司会進行・プレゼンテーション・及び質疑応答はこれまで同様、全て英語で行いました。

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 冒頭、藤崎氏は、自己紹介をされながら「2012年、駐米大使を最後に退官した際、『これからは色々と気にすること無くなんでも話せる。』といったら友人に『もう誰も、あなたの発言など気にしないよ』と言われてしまった」とジョークを飛ばしたので、会場は笑いに包まれました。

 打ち解けた雰囲気の中、藤崎氏は最初の話題として、2015年4月の安倍総理による米国上下両院合同会議における演説を取り上げられ、「戦後70年という節目の年、且つ、政治・経済・安全保障上の新たな難題がアジア太平洋地域において山積しているタイミングにおいて行われた演説であり、また近年の日本の政治指導者と比較して強い政治基盤を持ったリーダーの演説であった、という点で、特別な意義があるものであった」との認識を示されました。特に、演説において「Deep Repentance(深い悔悟)」との言葉を使ったこと、総理自ら記者会見で安倍内閣として河野談話を修正する意図は無いことを明確にしたことは目新しいと述べました。そして、オバマ大統領と安倍総理との懇談の様子がこれまで外交官として直接関わってきた多くの日米首脳会談よりも親密なものに見えたこと等に注目され、「本演説は、戦後の日米関係が、かつてマンスフィールド駐日大使が表現され、その後、ダニエル・井上議員を始め多くの知日派の政治家に引用されたフレーズ、“日米関係は、世界において最も重要な二国間関係である。そしてそれは他に類をみない(The U.S.-Japan relationship is the most important bilateral relationship in the world, bar none)”を真に体現する新たなフェーズに入ったことを象徴する意味を持ったのではないだろうか」とのお考えを示されました。

 次に、現在国会で審議が行われている安全保障関連の法案に話題を移され、「メディアや多くの人々は、本法案が日本の安全保障政策の根本的な転換であると表現している。しかし、本法案が、「吉田ドクトリン」で示されたDefense-orientedである日本の安全保障政策の基本的態度に変化をもたらすものでない以上、その方向性を“転換”するものとは言えないのではないか」との認識を示された一方で、「ただし、今回の議論のペースについては、過去の安全保障政策の見直し時と比較して速い」と指摘されました。藤崎氏は、沖縄普天間基地辺野古移設を巡る問題についても、移設が必要とされる理由やこれまでの経緯、そして検討の俎上に上ったその他の選択肢についても、丁寧に参加者に説明をして下さいました。

 大詰めを迎えるTPP交渉に話題を移された藤崎氏は、かつて外交官として関わったWTO農業交渉のご経験も紹介しながら、「多国間交渉というものは、国内の利害関係に囚われる余り、主体的関与の機会を逃してしまうと、再びメイン・プレーヤーとして交渉のテーブルに戻ることは極めて困難である」こと、そして「困難な交渉を妥結に導くためには、時として、政治家が、官僚や補佐官の手を借りずに、自らの言葉と知識で直接相手と交渉をすることが求められる」こと等を指摘されました。

 藤崎氏は、様々な意見が飛び交うアジアインフラ投資銀行(AIIB)問題についても、お考えを共有して下さいました。即ち、AIIBは片方で多国間協働によるアジアのインフラ整備を主導し、もう片方では南沙諸島で軍事拠点を築いている中国の如才ない政策であり、ガバナンス等の観点から参加の可否を慎重に判断する、米国との連携を重視する、との日本政府の現在のスタンスは適当である、とのお考えを示された上で、「日本の対応振りは世界から注視されていることを認識することが重要である」と強調されました。その上で、今後の日米関係を考える上で大切な原則として「3つのNo」、即ち「No Surprise (ニクソン・ショックのような驚きを相互に与えないようにすること)」、「No Over -politicization(難題が発生した際、お互い過度に政治問題化させないよう自制すること)」、及び「No taking for granted(何事も、お互いに「当然のこと」と捉えないようにすること)を提示され、お話を終えられました。

 その後に続く質疑応答では、外国から見た安倍首相のイメージの就任時からの変化、新安保法制により米国の戦争に日本が巻き込まれるとの懸念、今後の対中政策のあり方、米軍再編についての見方、沖縄の基地問題の今後の見通しと日米両国政府に求められる対応、日本の政治リーダーの対外発信力・語学力等、幅広い話題について活発な質疑応答、議論が交わされました。

 応答の中で藤崎氏は、近代史を多角的視点から学ぶことの重要性を参加者に強調されました。また、今回は、第5回PIPDセミナーで、ゲスト・スピーカーとして「日米防衛協力の指針」についてプレゼンテーションをして下さったThu Nguyen米国国務省軍事・政治問題担当専門官も参加して下さったこともあり、より一層深みある議論を楽しむことが出来ました。

 今後もZESDAはグローバル・ネットワークを構築していくため、「Platform for International Policy Dialogue(PIPD)」を共催して参ります。
引き続き、ZESDAを宜しくお願い致します。

第18回 プロデュース・カレッジ 事前レポート②

暑さが和らぎ、いくぶんしのぎやすくなりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?

いよいよ今週末、22日(土)にZESDA 第18回プロデュース・カレッジ
「プロデューサーシップ~創造する組織人の条件~」が開催されます。

 イベント申し込み・詳細はこちらからお願いいたします
 →→→ http://peatix.com/event/101186/

 企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、組織変革が問われるなど困難な状況に直面されている方も多いのではないでしょうか。組織には慣性があり、今までのやり方を是とし、変革に戸惑い、抵抗する方もいるため、組織変革は増大なエネルギー、時間を要します。

 今回ご講演いただく山下教授は、映像制作現場に見られるプロデューサー型人材が一般的な企業でどのように活躍できるかをテーマに、プロデューサーシップと組織変革の法則を研究されています。

 組織変革という点において様々な研究がなされている中、なぜ「プロデューサーシップ」を提唱しているのでしょうか。山下教授の考えるプロデューサーシップとして、プロデューサーと組織変革型リーダーの違いから言及されています。

 著者に下記のような一節があります。

「そもそもプロデューサーとリーダーというのは意味が異なっている。簡単に言えば、プロデューサーは創る人であり、リーダーは引っ張る人である。(中略)常にわれわれが求められているのは、人びとをワクワクさせるような、目に見える何かを自分の手で創るということである。
 それは有形の製品でなくてもよい。触れることができなくてもよい。なんとなく感じるというような曖昧なものではなくて、ただ実際に体験できる何かがあればよい。わたしのような大学人であれば、面白い授業をつくるということも目に見える何かということになるはずだ。いろいろなところでプロデューサーが求められているというのは、きっとそういうことなのだろう。」(山下勝著「プロデューサーシップ 創造する組織人の条件」より)」

 組織変革は非常に難しく、単に「目指すビジョンを掲げて引っ張る」だけで一向に進まないケースはよく起こります。プロデューサーシップはビジョンを掲げるだけではなく、「目に見える形でモノを創る」ことで、人々を魅了し原動力を引き出し、変革の道筋を現実のものとすることだと考えられます。

 今回のプロデュース・カレッジでも、山下教授のご講演に加え、プロデューサーシップが生み出されやすい職場とは何か、今後プロデューサーシップを実現するためにはどうするかを考えるワークショップをご用意しています。
変革のきっかけづくりを一緒に考えていきませんか?

 
 当日のスケジュールをお知らせ致します。

【スケジュール】
12:30  受付開始
13:00~13:15 はじめに
13:15~13:30 ワークショップ①アイスブレイク
       「プロデューサーシップ実現のシミュレーション
             ~その時、あなたならどうしますか?~」
13:30~14:30 講演 (講師:山下勝氏)
14:30~14:45 休憩
14:45~15:05 質疑応答
15:05~15:25 ワークショップ②
       「プロデューサーシップを実現するためのアイディアを考えよう!」
15:25~15:55 発表・講評
15:55~16:00 終わりの挨拶
※タイムスケジュールや内容が変更になる場合がございます。あらかじめご了承下さい

カレッジ終了後は交流会を予定しております。講師の山下氏も参加される予定です!
参加者同士の交流もカレッジの楽しみのひとつです。
是非、奮ってご参加下さい!


【開催概要】

イベント申し込み・詳細はこちらからお願いいたします
 →→→ http://peatix.com/event/101186/

日時:2015年8月22日(土)開場12:30  開始13:00 終了16:00
※当日はワークショップを行いますので出来るだけ時間厳守でお願いします。
場所:日本経済大学大学院 246ホール
(http://shibuya.jue.ac.jp/campuslife/facilities.html
JR山手線・埼京線湘南新宿ライン
渋谷駅南改札西口徒歩3分
会費:社会人2000円 学生1000円
申込:http://peatix.com/event/101186/
※参加者の条件や必要なスキルなどは特にございません。

【第2部 交流会】(交流会は山下教授も参加予定です)
時間:16:30~18:30  
場所:渋谷JET渋谷三丁目店 
http://r.gnavi.co.jp/gccb200/?sc_cid=tnp_ml
会費:¥2500(2時間飲み放題)
※交流会費はイベントの受付時にお支払をお願いいたします。

【講師プロフィール】
山下勝氏(青山学院大学 経営学部 教授)
1972年大阪生まれ。神戸大学経営学部を卒業後、神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程、後期課程を修了。
博士(経営学)。青山学院大学経営学部専任講師などを経て、現職。
経営組織論の観点から15年以上にわたって映像製作プロデューサーの研究を行ってきた。
著書に『プロデューサーのキャリア連帯:映画産業における創造的個人の組織化戦略』
(共著、白桃書房、2010年)、『キャリアで語る経営組織:個人の倫理と組織論理』
(共著、有斐閣アルマ、2010年)などがある

スタッフ一同、皆様とお会いできることを心より楽しみにしております。

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第18回ZESDAプロデュース・カレッジ 事前レポート①『プロデューサーシップって本当のところ一体何?』

 第18回ZESDAプロデュース・カレッジは、講師に「プロデューサーシップ~組織人の条件~」(http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P50550.html)
の著者であられる青山学院大学経営学部 山下教授をお招きし、「プロデューサーシップ~創造する組織人の条件~」をテーマに開催いたします。

イベント申し込み・詳細はこちらからお願いいたします
→→→ http://peatix.com/event/101186/

 開催に先立ちまして、私たちZESDAは「プロデューサーシップ」という言葉をいつも何の疑問もなく当たり前のイメージで使っていますが、その言葉の意味を改めて確認したいと思います。

 英語のプロデューサーシップはデュースに接頭語のプロが付いた言葉です。サーは、人のこと。接尾語のシップとは、この場合は抽象名詞を作ります。

 proは、「前の方へ」、duceは、「導く」、pro+duceは、「前の方へ導く」、それに接尾語のerを加えると「〜する人」、これにshipが付くと抽象名詞となり「前の方へと導く人」の一般的な類型、つまり或る特殊なパターンの一般的形式を意味し、『「ある意図に基づいて、ある目的へと或ものを前の方へと導く人」の典型』となります。

 このような手順でとらえると、producershipとは、このような行為する人の典型を一般的に型式化し、抽象化した概念、あるいは特殊形式であると言えます。

 ある人物が構想したある目的を達成するために、現状を変えたり、新しいものを作ったり、つまり、今ある目の前の現状を、ただ単に肯定的、受動的に日々を惰性で生きるのではなく、積極的、能動的に現状を良きものに変えていったり、新しいものを構想したり、実際に創り出したりといった行為をプロデューサーシップと呼んでいるのだろうと思います。一言で言うと、現実世界に新たなものを作り出すことそのもののが、プロデューサーシップであると理解しているのではないかと思います。

 しかし、一方で、プロデューサーシップは、和製英語ともいわれています。微妙に意味自体は曖昧なものかもしれません。使われるそれぞれの場面でニュアンスがちがってくる言葉なのかもしれません。考えれば考えるほど、なかなかこれといった定義の決まらない曖昧な言葉のようです。


 プロデューサーシップが必要である、とは言うもののとても困難であることも事実です。新たなことを実現しようとするにしても、様々な厳しい現実の壁に突き当たります。組織、人間関係、社会にある様々なことなど。また、そもそも自分は本当は何を実現したいのかとか、本当にこの目的を選択して間違いはないのかという自分自身の心にある迷いなどは、何をやるにしても常に付きまとっていて離れないのではないでしょうか。つまり外部環境の問題と同時に自身の心、精神、意欲とか意志の問題とか。むしろ、外側の問題よりも、内側の問題の方がより困難なのだろうと思います。だから、プロデューサーシップについて考えるとき、この外側からも、そして特に自分自身の心の底にある内側からも困難な壁に突き当たります。しかし、差し当たり前に進む為に、敢えて試行錯誤せざる得ないし、失敗も付き物であるとも、古来からもよく言われています。

 今回の山下先生の話は面白いです。

 先生は特に映画業界をはじめとしたエンタメ業界に関心を持つ人で、映画製作のプロセスをフィールドワークすることによってプロデューサーシップについて考えてきました。

 先生の著書で、以下の興味深い一節がありました。

「映画の創造性を作り込むというプロデューサーにとっての大きな役割は、単に作業リストとして存在しているだけではない。脚本を作る、現場で監督の演出を管理する、撮影後に編集する、という実作業自体は、やれと言われれば誰でもできるものである。監督だけでなくあらゆるスタッフを雇用する側にあるプロデューサーはそれ相応の発言力を持っているからだ。ただし、品質の良い映画を作るのであれば、単に『その役割を果たしました』というだけでは不十分なのは明らかだ。

 問われているのは、何をやるか、ではなく、それをどのようにうまくやるか、である。

 そのような視点で見れば、監督と向き合うためのコツというのがあることがわかる。(中略)

 脚本を作っている段階というのは、プロデューサーはアート指向でもビジネス指向でもなく、監督のイメージする世界観を見守ろうとする姿勢がもっとも適切である。もちろん、スポンサーたちが意図している企画の趣旨はつたえるのだが、それに対して監督がどのようなレスポンスをするのかを期待している。映画の世界観をつくるのは監督の役割なのに、プロデューサーがアート指向になりすぎてその領域を侵犯するのであれば、その監督を起用した意味がなくなってしまう。逆に、ビジネス指向で監督と対話しようとすると、その監督は『こんなプロデューサーとは映画の世界観について語り合えない』という判断をして、その後のコミュニケーションも取りづらくなるにちがいない。(図参照)」
(山下勝著「プロデューサーシップ 創造する組織人の条件」p101〜102より引用)

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 プロデューサーは、人の背中を押したり引いたり、場合により静観したり。関わり方のノリも含め臨機応変な対応が必要であるということがわかります。

 果たして、プロデューサーシップというものの法則性や、いついかなる場面、場所でも効果を発揮できる簡潔で誰にでも分かりやすいマニュアルを作ることは可能なのでしょうか。そのようなことはプロデューサーシップが発揮される現実自体の孕む複雑性により、到底無理なのでしょうか。

 これらの問と合わせて、プロデューサーシップとは何かについて、これからも、日々日常の中で、もっと深く考えていきたいと思います。

 イベント当日、山下先生からどんなお話が聴けるのか楽しみです。

【第18回ZESDAプロデュース・カレッジ開催概要】

「プロデューサーシップ~創造する組織人の条件~」
講師:青山学院大学経営学部 山下勝 教授
日時:2015年8月22日(土)開場12:30  開始13:00 終了16:00
場所:日本経済大学大学院 246ホール
  (http://shibuya.jue.ac.jp/campuslife/facilities.html
    JR山手線・埼京線湘南新宿ライン
    渋谷駅南改札西口徒歩3分
会費:社会人2000円 学生1000円
申込:http://peatix.com/event/101186/
※ イベント終了後、講師を交えた交流会(会費3000円前後)を開催いたします。

イベント申し込み・詳細はこちらからお願いいたします
→→→ http://peatix.com/event/101186/

トルコ財務省 経済参事官より「今年のG20における課題と日本への期待」Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第12回セミナー開催のご報告

 NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、(株)自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。 

 5月15日(金)朝7時30分より開催した第12回PIPDセミナーでは、ゲストスピーカーに在東京トルコ大使館にて経済担当参事官として活躍されているIzzet Yerdes氏をお招きし、「トルコ経済の現状と今年のG20の課題」をテーマにプレゼンテーションを頂いた上で、参加者の皆様とディスカッションを行いました(注:トルコは本年のG20の議長国です)。

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 Yerdes氏は冒頭、「目覚めのコーヒーになるトピック」として、トルコと日本が深い友好関係を築くきっかけとなった出来事、1890年におこったエルトゥールル号事件を紹介されました。オスマン・トルコ帝国のアブドゥル・ハミトII世が日本に派遣した軍艦エルトゥールル号は、その帰途、和歌山県串本沖で台風のため遭難。500名を超える犠牲者を出す大惨事となってしまった一方、事件の通報を受けた大島村(現串本町)の住民総出の救助活動により、69名の命が助けられた、という事件です。この不幸な出来事は、トルコと日本のその後長く続く深い友好関係の発端となっており、串本町にある慰霊碑では現在でも、町とトルコ大使館共催で慰霊祭が行われているということです。

 人口約7,769万人を中進国トルコは、「若い国」であるとYerdes氏は強調。具体的には、平均年齢は30.7歳、いわゆる生産年齢人口が全体の63.5%を占めており、まさにこれからが「伸び盛り」の国です。また、2050年の人口予測によると、35年後もトルコは労働人口の割合を維持しており、他国に比して若い国であり続けるということです。Yerdes氏は、そんなトルコの「中長期経済ビジョン」は、2023年までに、2兆ドルの名目GDP総額(2014年:約8000億ドル)、一人当たりの国民所得2万5千ドル(2014年は約1万ドル)、そして輸出額5,000億ドル(2013年:約1,500億ドル)を達成し、世界経済のTOP10入りを果たすことを目標として掲げ、これを実現するための目の前の課題として、インフレ抑制、経常収支赤字の削減、そして構造改革の加速による潜在成長率の向上を挙げている、と説明されました。

 Yerdes氏は、「トルコの足元の実質GDP成長率は約4%、これは日本から見ると高い成長率と考えられるかもしれないが、トルコ経済には、より高い成長率が必要。なぜなら、毎年労働市場に参入する約100万人の若者に雇用を提供しなければならないためです」と説明。そして、そのためには、輸出競争力のある幅広い国内産業の育成と、そのための投資促進が必要であり、同時に、そうした民間部門の活動を可能にするために、現在7%を超えているインフレの抑制と現在の安定的な財政運営を維持することが政府・中央銀行に求められている課題であると説明されました。なお、トルコは長年EUへの加盟を国家目標としていることから、EU加盟国に求められるマーストリヒト基準である「政府債務残高の対GDP比60%以下」を2004年以降クリアし続けていること、毎年の財政赤字の水準についても、同基準である対GDP比3%を下回る水準に抑えていることを強調されました。しかし、EU加盟に向けた交渉自体は、トルコ側の努力にもかかわらず、EU加盟交渉は、キプロス問題(南部ギリシャ系住民が多く占めるキプロス共和国と北部トルコ系住民が多くを占める北キプロス・トルコ共和国との分裂問題)により、前進が見られていないとのことです。

 今年トルコはG20の議長国。Yerdes氏は、G20は独自の事務局は持たず、各国が輪番で議長国を務めているものの、前年と翌年に議長を務める国とその年に議長国を務める国の計3か国が共同してアジェンダ設定等の役割を果たす「トロイカ体制」を敷くことにより、ある程度の継続性が保たれていると、説明。そして、昨年の議長国であったオーストラリアから引き継ぎ、来年の議長国である中国にバトンをタッチする立場にある今年の議長国トルコが重視する優先事項を、「3つのI」と表現されました。

 一つ目のIはInclusiveness(包摂的な政策)。各国国内、及び国同士の間で広がる格差や不平等を可能な限り解消することは、社会の安定を維持し、成長を続ける上で最も大切なことの一つであり、そのために、中小企業対策や低所得国への効果的なアプローチを今年のG20の重点課題の一つとしている、と述べられました。そして二番目のIは「Implementation(実施)」。昨年のG20では、議長国オーストラリアの下で、「今後5年間世界のGDP成長率を現状の見通しよりも2%高める」との目標を設定、これを実行するために、各国合計して1,000以上の行動計画が作られました。こうした文脈においてトルコ政府は、この計画を着実に実施する、即ちImplementationを重視しているということです。そして、最後のIが「Investment(投資)」。先進国・新興国双方に存在する膨大なインフラ投資のギャップを埋めていくことが成長率を高めていくうえで不可欠であると述べられ、この観点から、日本が推進している「質の高いインフラ投資」は有効であると説明されました。

 Yerdes氏は、今年のG20は、「3つのI」をキーワードとしつつ、税源移植と利益移転の問題(BEPS:Base Erosion and Profit Sharing)、大きすぎて潰せないシステム上重要な金融機関の資本充実策、米国議会の承認の遅れにより頓挫しているIMFの投票権見直し改革、反汚職対策、そしてエネルギー政策等、多岐にわたる議題が議論されると説明され、プレゼンテーションを締めくくられました。

 プレゼンテーション後の質疑応答では、トルコがどのように財政赤字を削減したかに関する取組み、EU加盟についてのスタンス、「質の高いインフラ投資」の具体例や中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)へのスタンス、若年者に対する雇用創出策、及び「中所得国の罠」に陥ることを避けるための産業政策の在り方等、様々な論点について、活発且つ双方向の意見交換が交わされました。

今後もZESDAはグローバル・ネットワークを構築していくため、「Platform for International Policy Dialogue(PIPD)」を共催して参ります。
引き続き、ZESDAを宜しくお願い致します。