ZESDA's blog

日本の技術と世界のニーズをつなげるプロデューサーの支援・育成を通じて日本企業のグローバル競争力の強化を目指すNPO法人ZESDAのブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


第3回ZESDA交流会 開催報告

<第3回ZESDA交流会~プロデューサーシップで切り拓け!~開催報告>

私たちNPO法人日本経済システムデザイン研究会(ZESDA)は、2017年11月4日(土)日本経済大学大学院246ホールにて「第3回ZESDA交流会」を開催いたしました。

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【第一部 講演】

・川上村副村長(地方創生担当)兼 政策調整室長、当団体副理事長 西尾友宏氏
「地方創生・地域を輝かせるプロデューサーの役割~人口減少の真の解決策とは?~」

・株式会社Adventure JAPAN代表取締役 兼 SAKURA COLLECTIONプロデューサー 田畑則子氏
「アジアの懸け橋 SAKURA COLLECTION 6年の軌跡」


■ 川上村のプロデュース法とは?
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 西尾氏の赴任地である川上村は長野県の高地に位置する高原野菜の生産が盛んな地域です。なかでも夏場のレタスの国内需要の8割のシェアを握り、年間の売上は500戸の農家全体で200億円にまで上ります。※川上村http://www.vill.kawakami.nagano.jp/www/index.html

 このように、一見成功しているように見える川上村ですが以下、2点問題点があるとのこと。
①人口減少。(女性が都市に移住したまま帰ってこない)
②レタス需要の縮小傾向による、収入減(対策として経済の多角化が必要)

 ①川上村で暮らす女性の満足度が低いのは、女性の自己実現の場が限られているためであると西尾氏は分析しました。
農業の強い川上村は男性の発言力が強く、議会での決定事項なども女性に対するプレゼンスが非常に低いため、村に嫁いだ都会の元キャリアウーマン達は、自己実現の機会が失われていることに不満を抱いているが多いと西尾氏は感じました。

 そこで女性が自己実現できるチャンスを提供し、その活動の成功事例を実績として対外的に示すことを目指しました。そして、女性が議論できる場を設けたり、ビジネスコンテストなどを開催し、目に見える成果が徐々に増えていきました。

 例えば、おしゃれな農作業着をデザインする取り組みや、Instagramで#DiscoverKawakami というハッシュタグで村の名所や楽しい想い出を集める活動。女性が自己実現や地域おこしに時間を割けるよう、お互いの空いた時間を融通し合って家事などを助け合うアプリ(MAKETIME!)を開発し、コミュニケーション・プラットフォームを整備するなど、女性が社会参加しやすい環境整備を積極的に進めたとのことです。

 ②収入源の多角化については、レタスそのものではなく、レタスを栽培する技術の輸出に着眼しました。例えば、ベトナムの大学生が川上村の農業体験により単位を修得できるようにしたり、川上村の村民が海外出張してレタスの栽培方法を現地で教えたりするプロジェクトを成功させてきました。
 また、企業に川上村を「開放」し、イノベーションを起こすべく未公開の技術の実験場として村の土地を提供するなど、企業のパートナーとなっているとのことです。

 講演の最後に「川上村には、豊かな自然以外にも、自己実現ができる村。という付加価値を提供すること、そして村と東京や海外との連携を強化することが自分の使命だ。」と力強い言葉でまとめていたことが、印象的でした。


■「アジアの現状、日本との違いは…?」
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 2人目のスピーカーの田畑氏は、多言語で日本の文化を発信する雑誌「Adventure Japan」を東南アジア向けに発行しています。
フリーライターとしてマレーシアを取材旅行していた際に、日本人の自分よりも日本のことを知っている外国人に多く出会い、驚いたそうです。
そして、彼らにもっと日本のことを知ってもらいたい。また、自分ももっと日本のことを勉強したいと思い、日本をより深く、広く、多言語で紹介する雑誌を創刊されたとのことです。

 日本各地を巡る中で、田畑氏は織物文化に着眼するようになりました。日本の織物は地域ごとの多様性、独自性に富んでおり大変奥が深い一方で、需要も供給も低下しています。
 そこで、日本の伝統的な織物を海外のデザイナーに使用してもらい、新しいブランドが立ち上げることで、需要と供給のバランスが整い、グローバルに広がっていくのではないか、と思いついたそうです。
 こうして生まれた事業がサクラコレクションです。※SAKURA COLLECTION(http://www.sakuracollection.com/

 サクラコレクションはファッションコンテストです。東南アジアをはじめ海外の大学や専門学校の生徒に、日本文化をテーマにした作品を創作してもらいます。デザイン案は審査されるのですが、日本ではこうした競争させるようなコンテストに対して消極的な姿勢をとる学校が多いそうです。(コンテストで優勝しないなど、失敗することに敏感なため)反対に東南アジアでは、「一番を決めたい!」とコンテスト形式は大きな盛り上がりを見せるそうです。

 ファイナルの日本のショーでは、各国のコンテスト優勝者が一同に集結。また、アジアのプロのデザイナー達による日本の織物を使用したファッションショーもお楽しみいただけます。次回は2018年3月1日(水)に宝生能楽堂にて、能楽とコラボレーションという新たな組み合わせで、サクラコレクションを開催予定とのことです。
 
 また、サクラコレクションに関わる企業のマインドにも国内外で違いを感じるそうです。田畑氏いわく、「日本では、良いアイディアを持つベンチャー企業があっても、それだけではなかなか支援が受けられない。しかし、東南アジアではアイディア良ければどんどん採用され、支援企業が拡がっていく。それゆえサクラコレクションの事業拡大は東南アジアで順調に拡大している。」とのことです。

 一方で、日本人の「慢心」にも警鐘を鳴らします。
 「日本の技術やデザインは最先端を行っている、という印象はもはや幻想で、外から見ると停滞していると感じる。日本人はアイディアが枯れている。毎年同じことをやっている。という印象を持つ外国人も少なくない。」とのことです。

 最後に田畑氏は、東南アジアの急成長の目覚ましさを改めて強調し「日本では年功序列の風習が根強く残っている。しかし、東南アジアでは若い人がどんどん能力を認められて成長するので、5年もすれば非常に出世している。若さが企業の競争力にしっかり活かされている。日本も若い人材の力を認め、登用していかなければあっという間に世界に取り残されてしまう。」とまとめられました。


■ 第二部:ZESDA 活動報告

 第二部では当法人の活動報告を行いました。ZESDAは大きく二つの活動が車の両輪のように機能しています。
「カレッジ活動」→コネ(人脈)やチエ(情報・知識)を集める
「インキュベーション活動」→集めたコネやチエを起業家などに提供する
今回はそれぞれの活動を行う部門長から活動報告が行われました。

・インキュベーション活動

 まず、インキュベーション部門長である瀬崎から、ZESDAの活動を進める上で基礎となる知見を身につける「リサーチ活動」と、ベンチャーや企業内の新規事業開発担当者の企画実現を支援する「ベンチャーサポート活動」について説明しました。

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リサーチ活動では、成長著しいミャンマーに実際に赴き、現地の市民生活やITサービスの利用状況に関する調査を実施して、調査結果を資料にまとめたりしています。

ミャンマー "アジア最後のフロンティア" ZESDA隊員視察ルポDAY1(http://zesda.hatenablog.com/entry/2016/07/24/110312

 また、ベンチャーサポート活動では、石川県にある古民家民泊施設が集まった「春蘭の里」を支援しています。チームで数回フィールドワークを行い、国内外から人が訪れるような新規事業を具体的に提案しました。
オーナーにも認められ、現在その実現に取り組んでいます。ZESDAの持つコネやチエを駆使して、春蘭の里の魅力を世界にPRしていく予定です。

*春蘭の里訪問(2/25-26)(http://zesda.hatenablog.com/entry/2017/03/17/183013
*春蘭の里訪問(5/13-14)(http://zesda.hatenablog.com/entry/2017/06/08/230414

 瀬崎は「21世紀に入り、皆が同じことを競って行う時代は終わり、個人が個性を武器に自己責任で生きる道を拓いていかなくてはならない「脱平均化」の時代に入った。」と述べます。そして、「これからの時代を生き抜くには、コネやチエのインプットに努めるだけでなく、適切な場所、相手、タイミングでアウトプットできることが求められていくだろう。コネやチエをアントレプレナーに注いでいく機能がますます必要とされるだろうし、それこそがZESDAのインキュベーション活動のミッションである」と述べました。
 「一般的に日本人はリスクを取ることを恐れると言われているが、これからはそんなことは言っていられない。失敗を恐れずにどんどんチャレンジしなくては生き残れない。ZESDAは専門分野の異なる社会人が共に学び自分の想いを実践できる貴重な場であると実感している。」とまとめました。


・カレッジ活動
 次にカレッジ部門長の清水から、カレッジ部門の2つの活動、
プロデューサーの育成とプロデューサーシップ🄬の普及を行う「エデュケーション活動」
ZESDAの活動を広げ、ZESDAの活動に人巻き込んでいく「ネットワーキング活動」について、実績報告を行いました。

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現在、エデュケーション活動は
・留学生や留学経験者を始めとする社会人と英語でディスカッションをする「PIPD」(14回開催)
・ZESDAスタッフが講師として講演するゼミナール(3回開催)
・研究・イノベーション学会の分科会としてのプロデュース研究分科会(講座7回・シンポジウム1回)
の3つの活動があります。

ネットワーキングの活動は
・年1回の活動報告を兼ねたZESDA交流会(1回開催)
・医療の問題を気軽にトークできる座談会形式の医療システムデザイニングコミュニティ(MSDC)(3回開催)
・40~50代を中心としてミドルキャリア・ネットワーキング(新規プロジェクト)
の3つのプロジェクトを中心に活動しています。
※(カッコ内は2016年9月~2017年10月までの活動実績です)
その他、ZESDAスタッフ向けの勉強会、研修、他団体の交流会(飲み会)なども随時開催しています。
この様な場づくりを通して、様々な分野の方との繋がりを増やしています。

 現在カレッジ部門には20名ほどが在籍しておりますが、スタッフにはできるだけ長く活動できるように、活動スタイルをプロジェクト担当制にし、「運営スタッフ」「サポートスタッフ」に分けて活動しています。スタッフの活動意識に合わせてチーム分けを行っているとのことです。
 世界を相手にビジネスを展開するためには競争力や交渉力を身に付ける必要があります。プロジェクトの企画運営を自ら行うことで、リーダーシップやZESDAが提唱するプロデューサーシップを体感し、新たなスキルを身に付け人間力を高めることができます。起業や副業、転職などを実践する前に、ZESDAの活動を通して実践することも可能であると清水は述べました。
 また、カレッジ部門は今後、「地方と海外を結びつけるグローカリゼーション」を意識して活動していきたいとまとめました。

 瀬崎と清水は共に、自主性に基づく競争力と交渉力を武器にして本人の「やりたい」という意志が実践できる場であるZESDAで、どんどんチャレンジして欲しいと語りました。
 ZESDAはコネとチエの収集やグローカリゼーションの実践を通じて互いに成長していく場として、今後も活動していきます。


 代表の桜庭は、ZESDAには失敗するかもしれなくてもチャレンジしてみる、失敗してもなんとかする、という意識が重要であると述べました。そして、 これから日本は人口が縮小し、国際的な経済的な地位も低下する。衰退をなるべく食い止めるには、太平洋ベルトで稼いだカネの再配分に頼るのではなく、地方が直接外貨を稼げるようになることが、重要だ、そしてそれができる可能性は大きく残されているので、ZESDAはグローカリゼーションの真の実現を目指して努力を続けていく、まとめました。

 
 また、ZESDAではどういうスタッフが活動しているか、についても報告させていただきました。ZESDAのスタッフはどんな職業が多いのか?男女比、年齢などを今回初めてアンケートを取りました。詳しい結果は後日、HPなどでお知らせ予定です。

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■ 第三部:交流会

第三部の交流会では、事前に配布した参加者シートを見ながら、新たな出会いを提供する場として盛り上がりました。
また、PRタイムとして、団体の紹介や個人的な訴えなど、色々な方に自由に話していただきました。

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■ 第四部:懇親会

場所を変えての懇親会では、お酒も入り、賑やかな雰囲気の中、楽しく充実した時間を過ごされていました。

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さらに、懇親会のあとに行ったZESDAメンバーでの3次会(打ち上げ&反省会)も実に盛り上がりました!

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 今回、50名以上の方が参加されました。滋賀県香川県など地方から参加された方もいらっしゃいました。また、いつもお世話になっている関係者の皆様、いつもZESDAを応援してくださっている皆様、たくさんの方の想いが集結した交流会となり、無事に開催が終了したことを感謝申し上げます。ありがとうございました!

 これからもZESDAは、様々なイベント・活動を行い、新たな情報提供、出会いの場として活動して参りたいと思います。
今後も益々のご支援・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


文責:中川翼(専修大学3年生)