ZESDA's blog

グローカルビジネスをプロデュースする、パラレルキャリア団体『NPO法人ZESDA』のブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


6/11(土)第20回ZESDAプロデュース・カレッジ 開催報告

NPO法人ZESDAより、6/11(土)に第20回プロデュース・カレッジ「プロデューサーシップ実践トレーニング第2弾〜プロデューサーに必要な巻き込み力〜」を開催いたしましたのでご報告させていただきます。

今回は経済産業省出身、電気通信大学客員教授地域活性化伝道師の久野美和子氏をお招きし、現在8つの肩書きをお持ちという活力溢れる豊富なご経験を元に、プロデューサーに不可欠な「巻き込み力」についてお話し頂きました!

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31名の方にご参加頂き、講師のハツラツとした雰囲気に影響され笑いも起こりながらの楽しいイベントとなりました。


久野氏が目まぐるしい日々の中でたくさんの仕事を手がける背景には、「体だけでなく心も健康にいたい。生き物の平等が認められる社会にして行きたい」という想いがあると言います。
その想いの実現のために行動する中で、たくさんの事業や人と関わり、講師自身も驚くほどたくさんのネットワークをお持ちになっています。

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自分一人が行動するのではなく周囲を巻き込んで、得意分野を持つ人に協力してもらうことが大切。

「人間の中にはハブとなる、周囲とのネットワークが特に強い人が必ずいる」
「誰と組めばいいのか見極める(同質の人間ではなく多様な組み合わせ、価値観は合わないといけない)」
といった視点も重要で、久野氏がこれまで意識してきた点だと言います。

プロデューサーに必要な要素として挙げられたのは
イノベーションを起こす為の環境整備が出来る人。
・ヒト・モノ・カネのマネジメントが出来る人。
・組織のマネジメント力や戦略を立てつつ軌道修正しながらミッションにつなげていく力。
・前向きに考えられる積極的思考、旺盛な好奇心、発想力、エネルギー。
・勇気と決断力、信用力、実践からの学習力。リーダーシップ  等々。

人が「巻き込まれる」プロセスとしては、従来
①一握りの発案者の発生
②全体の3〜4割の人の「いいね、やってみよう」という共感(ここまでが大変)
③以降は6〜7割に至るまでは自然についてくる
という流れが一般的でした。

このモデルはIoT時代の到来と共に崩れる可能性があり、
「今後の新モデル(どうなるか分からない世の中の変化)にも期待しましょう」というポジティブなご意見でした。


ワークショップでは「周囲を巻き込んでミッションを達成するプロセスを考える」ことを目標に
参加者が社会で実現したいビジョン、それぞれが貢献できる経験、知識、スキルなどについて情報交換しました。

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参加者同士でビジョンを組み合わせて新しいビジョンを創造した例、
意見を交換する中でビジョンやプロセスが変化していった例など
互いに巻き込み、巻き込まれる中で新しい化学反応やたくさんのアイデアが生まれました。

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<具体的な事業アイデア
・リラクゼーションヒルズの開設
・サッカー婚活、地方の少子化防止
・地域のブランド創生、クラウドファンディング
・空間創造による街の活性化
・学べる温泉、働く温泉
・日本文化で外貨獲得


前のめりにディスカッションする参加者の姿も印象的で、久野氏からも発表内容に対し「新しいけれど今にも実現しそうな、具体的なアイデアばかり!」という熱い講評をいただきました。

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その後の懇親会は、アットホームな雰囲気の中、大変有意義な情報交換の場となりました。

今後もZESDAは今回のカレッジのような様々なイベント・活動を開催してまいりますので、応援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

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第20回ZESDAプロデュース・カレッジ 事前レポート②

f:id:ZESDA:20160605082124j:plain第20回ZESDAプロデュース・カレッジ
「プロデューサーシップ実践トレーニング第2弾 ~プロデューサーに必要な巻き込み力~」を、6月11日(土)に開催いたします!


→Peatixよりお申し込みを受付中です。
peatix.com


第20回の節目を迎える今回は、経済産業省出身、電気通信大学客員教授
そして、政府の地域活性化伝道師でもある久野美和子氏をお招きし、
「プロデューサーシップ実践トレーニング第2弾」として、
「プロデューサーに必要な巻き込み力」をテーマに開催いたします。

今回のカレッジでは、前半に「プロデューサー」としてこれまでに多くの新規事業を
創出してこられた久野氏より、いかにして周囲を「巻き込み」、各個人・組織が有する知識や技術を
実質的な成果として社会に送り出していくか、ご経験を基にノウハウを伺います。
また、その「巻き込み力」のいろはを頭で理解するだけに留めず、
後半のワークショップにて「プロデューサーシップ®」を実践いただきたく思います。

当日のワークショップに参加される上で、皆さまには以下アイディアをお持ち頂くことをお勧めします。

・現在の職業+「何か」「誰か」を繋ぎ合わせてやりたいこと
・社会に貢献できそうなアイディア
・新しいビジネス、コミュニティづくりのアイディア


など、アイディアの詳細な内容、営利・非営利であるかなどは一切問いません。
どのような方を「巻き込み」そのアイディアを実現させたいのか?
まずはアイスブレイクとして参加者同士でお話いただく予定です!

同時に、「巻き込み力」が発揮される背景には、常に「巻き込まれ力」の高い人たちの存在があります。
アイディアを持つ他の参加者の方にめぐり会い、影響を受けられて「巻き込まれたい」と思いましたら、
その時にはそのアイディアを実現するために、長所を引き出し、改善点を見つけるプロデューサーとして、
積極的にワークショップにご参加ください。

「巻き込み」「巻き込まれる」ことから生まれる「プロデューサーシップ®」の化学反応にご期待ください!

イベント終了後は、参加者による交流会も予定しております。
会場の近くで開催しますので、ワークショップの熱量をそのままに、引き続きの意見交換や、
開催中に交流する機会がなかった参加者さま同士のネットワーキングの機会としても、積極的にご活用ください。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。


【開催概要】
日時:2016年6月11日(土)開場12:30  開始13:00 終了16:00
※当日はワークショップを行いますので出来るだけ時間厳守でお願いします。
※参加者の皆さまに自己PRシートをお配りします。
開始前にご記入いただけるとスムーズにワークショップに取り組んでいただけます。

場所:日本経済大学大学院 246ホール
JR山手線・埼京線湘南新宿ライン
渋谷駅南改札西口徒歩3分
地図案内はこちら

会費:社会人2,000円 学生1,000円
※参加者の条件や必要なスキルなどは特にございません。
※ZESDAのイベント初参加の方、実践トレーニング第1弾に参加いただいていない方もご参加可能です!


【第2部 交流会】
16:30~18:30(交流会は久野氏も参加予定です)
場所:縁家渋谷店
会費:¥3,500(2時間飲み放題)
※交流会費はイベントの受付時にお支払をお願いいたします。
tabelog.com



<スケジュール>
※タイムスケジュールは変更になる場合がございます、あらかじめご了承ください。

12:30~受付開始
13:00~司会挨拶
13:10~アイスブレイク、参加者自己紹介
13:20~久野氏ご講演 (講演50分+質疑応答10分)
(休憩 10分)
14:30~ワークショップ
15:25~ワークショップの結果共有(15分)
15:40~講師より講評
15:50~閉会、アンケート記入
16:00~片づけ、移動
16:30~交流会@縁家渋谷店


【講師プロフィール】
電気通信大学  客員教授 久野 美和子 氏

静岡県伊豆出身。千葉大学薬学部を卒業後、民間の製薬会社に勤務し、経済産業省に転職。
経済産業省関東経済産業局資源エネルギー環境部次長兼産業部担当次長等を経て、
平成19年3月に退職。財団法人常陽地域研究センターに勤務した後、株式会社常陽産業研究所顧問、
埼玉大学特命教授・産学官連携シニアコーディネーターを経て、平成27年4月より現職。
経済産業省キーパーソン、研究・イノベーション学会評議員
つくばサイエンスアカデミー運営会議委員等を歴任。


【持ち物】
色々な方とお知り合いになりたい方は名刺があると便利です


【写真撮影】
当日、プロデュース・カレッジの模様を写真撮影しフェイスブック等で
公開する場合もございますので予めご了承ください。
写真撮影不可な方は、当日受付にてその旨をお伝えください。
カレッジ参加者の写真撮影、SNSへの投稿の制限はありませんが、
他の参加者へご迷惑にならないようにお気をつけ下さい。

Professor Mark Kennedy (ノースダコタ大学学長)より 「ビジネス・政策環境を形成する”shapeholders”を特定し、彼らを取り込んだ戦略をつくる」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第26回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ株式会社自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。


6月1日(水)の夜8:00から9:30までの時間帯で開催した第26回PIPDセミナーは、ノースダコタ大学学長のマーク・ケネディ教授をゲスト・スピーカーとしてお招きし、「ビジネス・政策環境を形成する“Shapeholder”を特定し、彼らを取り込んだ戦略をつくるには?」をテーマにお話し頂き、その後教授から提示されたケースを用いたグループ・ワークを行いました。

ケネディ教授は、ミネソタ州選出の米国下院議員を3期務められ、ブッシュ政権(2期目)及びオバマ政権(1期目)にて通商アドバイザーとして活躍、そしてジョージワシントン大学ポリティカルマネジメント大学院(GSPM)院長として同大学院の発展に多大な貢献をされてきました。今回、ケネディ教授が5月末に数日間訪日される機会を捉え、PIPDスタッフとの特別なご縁から、訪日中のタイトなスケジュールの中、懇親会も含めて、PIPDセミナーに参加頂くことができました。

なお、今回は、会場としてエコッツェリア協会様が運営されている素晴らしい交流施設「3×3Labo Future 」を利用させて頂きました。この場をお借りしてご厚意にお礼申し上げます。有り難うございました。

ビジネスマン、政治家、そして大学教授として多方面で活躍をされてきたケネディ教授が提示する「Shapeholder」というコンセプト。教授はこの耳慣れない言葉を、ご自身で撮影された印象的な写真で織りなされたプレゼンテーションスライドを使って、テンポ良く、そしてとても分かりやすく伝えて下さいました。

  • Shapeholderとは何か?-Shareholder、Stakeholderとの違い-

ビジネスにおいて、株主(Shareholder)や利害関係者(Stakeholder:自社の従業員、取引先、顧客、及び拠点を置く地域社会)と対話をしながら、彼らの声を経営判断に活かしていくことの重要性については、既に多くの人々が認識しているところです。
しかし、ケネディ教授は、「多くの企業人が、自らが直接関わるマーケットの外で、自分たちとは異なる動機で動いているShapeholderの動向や彼らが経営に与える重大な影響については気付いていない」と指摘します。教授が提唱する「Shapeholder」とは、企業経営に直接の利害関係をもたないものの、その企業がマーケットで利用可能な選択肢の広さを形作る(Shapeする)者を指すそうです。例えば、政治の動向、規制の変更や新規導入、メディアの論調、市民活動家のキャンペーン等がこれにあたります。

  • なぜShapeholderが重要なのか?

ケネディ教授は、「ShareholderやStakeholderと異なり、Shapeholderはあなたの企業が失敗しようが、成功しようが、直接影響を受けることはない。しかし、あなたとは異なる動機や価値観で動いている彼らの動向は、あなたの企業が手にできる機会、あるいは直面するリスクに大きな影響を及ぼす」と指摘します。例えば、著名な環境保護団体であるGreen Peaceの動きに鈍感であれば、石炭採掘を営む企業は大きなリスクに晒される一方で、その企業の倒産が直接の原因となってGreen Peaceが倒産する、あるいは業績を高めることはありません。ここでGreen Peaceは石炭採掘産業が操業しやすい(し難い)雰囲気を「Shape」する役割を果たしています。

Shapeholderが企業の業績に与える大きな影響の具体例としてケネディ教授は、マーケティングで大きな成功を世界中で収めているコカコーラ社が、「肥満防止キャンペーン」を展開するNGOの活動により、ボストン市内のあらゆる公共施設で自動販売機の設置が出来ないでいること、アイルランドで500万人のユーザーを持つFacebookが、政府の規制により中国で10億人の潜在的ユーザーに全くアクセスできていないことを挙げられました。

その上で、「市民団体やメディアの声を、『彼らは何も分かっていない』と、あたかも“ノイズ”であるかのように受け止め、ShareholderやStakeholderを満足させることばかりに集中すれば、巨大なマーケット機会を喪失することになるだろう」と警鐘をならされました。
また、ケネディ教授は「Shapeholder」はビジネスにとって重要なだけでなく、NGO/NPO職員、軍関係者、政治家が、それぞれのミッションを追求する際にも、馬鹿にならないインパクトを及ぼすと指摘されました。

  • Shapeholderを特定し、効果的に関与するには何が必要か?

目の前のマーケットや慣れ親しんだShareholder/Stakeholderの動向ばかりに目がいく状況を、ケネディ教授は「トンネルの中にいるようだ(外の世界が見えていない)」と表現されました。その上で、Shapeholderに効果的に関与するためには「視界を開くこと」が重要であると指摘します。具体的には、いきなり解決策を考える前にShapeholderの立場にたった「問いかけ」を考えること、自分の発信するメッセージや市場での活動がShapeholderからどのように受取られるか出来るだけ客観的に予測すること、これらを効果的に実践するために、自社の伝統的なマーケット以外の場所で経験を積んだ価値観の異なる人間を組織に招き入れるといった方法を紹介されました。
その上で、「何よりも重要なのは、立場の違いを超えた仲間をつくること(Assemble)である」と強調され、プレゼンテーションを終えられました。

  • ケース・スタディ:「男性の育児休業取得義務化法案」を可決させるためのShapeholder Management

プレゼンテーション終了後には、教授がお話しされた内容に対する質疑応答に続き、「Shapeholder」について理解を深め、特に「Assemble(立場の違いを超えた仲間をつくる)」ことの重要性、難しさを体験するための、ケース・スタディを通じたグループワークを行いました。

4-5人の小グループを作った参加者に対して、ケネディ教授は以下のような事例を提示しました。
「君たちは、『全ての企業に男性の育児休業取得を義務付ける法案』の成立を目指す議員グループだ。この法案を無事成立させるには、国会の雰囲気を「Shape」し、同志となる議員を超党派でAssembleしなければならない。」

ケースの前提の理解が浸透しているかを確認した上で、ケネディ教授は参加者に対して次の課題を投げかけました。
「まず、この法案を殺す(廃案にする)ことを考える勢力が、同僚議員に投げかけるであろう、最も効果的な「質問」を一つ考えてもらいたい。」

ケネディ教授がプレゼンテーションで強調された「自分が追求するミッション(マーケット)の外にいるShapeholderの視点」に立った「Killer Question」をつくるべく、参加者はグループワークを開始。使用言語はもちろん英語オンリー。活発に議論するチーム、笑い声に包まれるチーム、悩ましい沈黙に支配されるチーム・・・それぞれの回答を配布された紙に記載していきます。

5分後、ケネディ教授の声がけでグループワークはいったん終了。チームの代表が考えついた「質問」を会場全体と英語で共有していきます。
 Do you want to kill small and medium sized companies?
 (中小企業を倒産させたいのか?)
 Do you think this is the only solution to address the issue?
 (これが本当に唯一の解決策だろうか?)
 Why does the government have to intervene in such a private matter?
 (そんな個人的な話にどうして政府が首を突っ込まなければならないのだろう?)
法案を廃案に持ち込むための刺激的なkiller questionが発表されました。ケネディ教授はコメントをしながら各チームのアイディアをホワイトボードに記していきます。

全てのチームの回答が出された後、ケネディ教授は、第二の課題を提示しました。
「今度は逆に、この法案を通す(成立させるにする)ために、あなた方が同僚議員に投げかけるであろう、最も効果的な「質問」を一つ考えてもらいたい。」
会場はさらに活発な議論に包まれ、様々なアイディアが出されていきます。
 Do you want to deprive young father with the most precious time in their life?
 (若い父親から人生で最も貴重な時間を奪って良いのだろうか?)
 Do you want to see more divorce and fewer kids?
 (離婚件数の増加や子供の数の更なる減少を望むのか?)
 Do you believe it is only woman who should take care of kids?
 (子供の面倒は女性だけが見れば良いのだろうか?)

こうしたケース・スタディに基づくグループワークを通じて、ケネディ教授は、Shapeholderマネジメントの要諦である「自分と異なるミッション(マーケット)で動く人々の立場に立つこと」、「解決策を考える前に問いかけを考えること」、そして「広く様々な人々を味方に付けていくこと」の大切さと難しさを参加者が理解する機会を与えてくださいました。

セミナー終了後には、近隣のレストランに共に場所を移し、セミナー参加者全員とケネディ教授とで、教授が愛する赤ワインで乾杯。セミナーを振り返りながら夜遅くまで懇親会を続けました。

第20回ZESDAプロデュース・カレッジ 事前レポート①

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ZESDAプロデュース・カレッジは、このたびおかげさまで節目の第20回を迎えることとなりました!

今回は、経済産業省出身で電気通信大学客員教授、そして、政府の地域活性化伝道師でもある久野美和子氏をお招きし、「プロデューサーシップ実践トレーニング第2弾」として、「プロデューサーに必要な巻き込み力」をテーマに開催いたします。

久野氏はこれまでプロデューサーとして豊富なご経験をされてきました。その中で特に大切にされていることが「人を巻き込むこと」です。

グローバル経済・産業・社会の中で、日本や地域、個別の企業等が勝ち残っていくためには、大学や研究機関の優れた研究・技術成果を社会的価値に繋げていくことが極めて重要で、その方法として、多様な知識をもった人材や組織との連携・融合が不可欠だといいます。

そして、人と人を繋ぎ、「巻き込む」こと。個々バラバラでの取り組みではなく、多くの方とミッションを共有し、戦略を持って繋がり、組み、「巻き込む」ことで想いを実現することができるのだと、ZESDAも考えます。

今回のプロデュース・カレッジはこれまでの久野氏のご経験をもとに、実際にどのように人を巻き込み、個人的な成果を社会的な価値あるものに繋いでいけば良いかを学ぶご講演と、実際に「人を巻き込む」ことを体感するワークショップをご用意しています。

皆さまはどのような“実現したい想い”をお持ちですか?

実現したいその想いのために、どのような人を、どのように巻き込むべきか。
その答えが見つかるかもしれない、今回のプロデュース・カレッジにぜひご参加ください!

「プロデューサーシップ実践トレーニング」の第1弾に参加されていない方も参加可能です。皆さまのご参加をお待ちしております。


【開催概要】
◆日時:2016年6月11日(土)開場12:30  開始13:00 終了16:00
※当日はワークショップを行いますので出来るだけ時間厳守でお願いします。

◆場所:日本経済大学大学院 246ホール
http://shibuya.jue.ac.jp/campuslife/facilities.html

JR山手線・埼京線湘南新宿ライン
渋谷駅南改札西口徒歩3分
≪地図案内はこちら

◆会費:社会人2,000円 学生1,000円
※参加者の条件や必要なスキルなどは特にございません。

◆参加方法
お申し込みはこちらからお願いいたします。


【第2部 交流会】
◆時間:16:30~18:30
(交流会は久野氏も参加予定です)

◆場所:縁家渋谷店 

◆会費:¥3,500(2時間飲み放題)
※交流会費はイベントの受付時にお支払いをお願いいたします。

Ms. Deborah Ann DeSnoo(フィルム&ビデオ・ディレクター、舞台演出家、シナリオライター、プロデューサー)より 「エンターテイメントの力 ~異文化コミュニケーション力を強化するには~」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第25回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ株式会社自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。


4月23日(水)の朝に開催致しました第25回PIPDセミナーでは、数々の受賞歴を持つフィルム/ビデオ ディレクターであり、舞台演出家、シナリオライター、プロデューサーとして活躍されているDeborah Ann DeSnoo女史をお招きして“Power of entertainment for a cross-cultural dialogue - tips to empower you to be an effective cross-cultural communicator”(エンターテイメントの力~異文化コミュニケーション力を強化するには~)」についてお話頂いた後、参加者の皆様でディスカッションを行いました。

Deborah女史のプレゼンテーションは、ある作品をインドで作成した経験談から始まりました。この中で、「誰しも異文化間のコミュニケーションでは誤解をするものだから、誤解から生じる問題について案じ過ぎなくて良い」と述べられ、このことを分かりやすく表現したDeborah女史の友人が作成した映像作品を紹介されました。

その作品には、外見が日本人であるがアメリカ育ちであるために日本語が話せない女性と、外見は外国人であるが流暢な日本語を話す数名の男女が登場します。彼らは日本のレストランで注文をするが、注文を取りに来た店員は「外見が日本人の女性」のみに話しかけ、「外見が外国人」の数名が日本語で話しかけてもそのスタッフは「英語がわからないので…」としか答えません。結局「外見が外国人の3人」が「外見が日本人の女性」に日本語を教え、カタコトの日本語で注文をしたところ店員が聞き取ってシーンは終わります。

外見とアイデンティティのギャップを皮肉たっぷりに表現した作品に対する参加者の感想を聞いた後、Deborah女史は、「この作品のように本来問題がないところに、問題ができてしまう」ことが異文化間コミュニケーションの難しさであること、だからこそ「聴くことが大切」と強調されました。また、「聴くこと」によって目の前で何が起こっているかを正しく理解できること、そして、そうしたスキルはグローバルに生きる上で欠かせないものであると主張されました。

16歳で高校を卒業した後、女優としてのキャリアをスタートしたDeborah女史のお父様は日本企業で社長を務めていたそうです。50歳から合気道を始めたお父様と、早朝から道場に通っていたDeborah女史は、そこで初めて外国文化に触れる経験をされました。

日本での初めての女優としての仕事は「我が愛」という作品への出演だったそうです。3ヶ月間にわたる仕事に関わる役者・スタッフは、Deborah女史を除けば全員日本人でした。そんな経験を振り返りながらDeborah女史は、「そこで学んだことが「聴くこと」でした。私は他の役者の人たちが話している時でもひたすらに「聴くこと」に集中し、彼らがどんな話をしているのかに常に耳を傾けていました。」とお話しされました。

その公演を見に来ていた劇団から依頼を受けことがきっかけとなり、演出・人材育成のディレクターとしての活動も始められたそうです。そして、効果的な演出を考える上で重要となる日本語力を高めた経験について、以下のようなエピソードを共有して下さいました。

「私が最初に勉強した日本語は「能」の日本語でした。古典芸術を学ぶことは歴史を学ぶことでもあり非常に難しいものです。有名な劇作家である別役実氏の日本語も勉強しました。特徴のある日本語を学ぶことで日本語の演出を理解していきました。こうした経験があったからこそ、例えば“Arsenic and Old Lace(邦題:毒薬と老嬢)”を翻訳した際、“Poison”を「ぼけ酒」と表現できたとだと思います。」

Deborah女史は、「外国で生活する上で、その文化のシステムを理解することが鍵」であることを、ご自身の旦那様が過労で倒れた経験に基づき、“corporate warrior(邦題:過労死)”という作品を制作したエピソードを通じてお話をして下さいました。

「当時、夫は72時間働いて1日休むという生活を繰り返しており、過労が原因で何度も倒れ病院に担ぎこまれていました。私は日本の病院システムに詳しくなりました。日本では外国人が救急指定病院を使うことは容易ではありません。病院の医師を紹介してくれる日本人の友人が必要なのです。以前、夫が心筋梗塞で倒れたとき、友人を介し、何とか救急指定病院に行くことができました。」

「異文化の中で生きるには、その文化のシステムを理解することが重要です。そのシステムに対して“But”と言っても夫は助かりません。こうした経験をもとに制作したのが“corporate warrior”です。この作品は物議をかもすものであったことから、NHKのNews7で取り上げられ、10分弱の私のインタビューも放送されました。またアメリカのTVでも同様に取り上げられました。論争的な作品を敢えて制作したのは、私が日本という国を愛していたから、この国を嫌いにはなりたくなかったからです。私には仕事による死が容認されることを理解できなかったのです。」

プレゼンテーションの締めくくりには、同じストーリーでありながら、日本語版と国際版(英語版)とで、表現方法・演出が異なる例として、Deborah女史が手掛けた“Skeletons in the Closet(邦題:異界百物語)“の冒頭を日本語版・国際版それぞれ上映頂き、日本向けと外国向けでは言語の翻訳以外に、BGMや効果音等の表現がどのように違うかについて説明頂きました。

プレゼンテーション後の質疑応答では、異文化交流によって起こるネガティブな事柄に対してどのように対応すれば良いか、日本人は人までのプレゼンテーションが米国人と比して不得意と言われるが、どのような点を修正する江波良いのか、といった点について、活発なやりとりが最後まで続きました。