ZESDA's blog

グローカルビジネスをプロデュースする、パラレルキャリア団体『NPO法人ZESDA』のブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


第2回ZESDAゼミナール:「オックスフォード・ケンブリッジ大学院の入り方」

2月25日(土)、青山オーバルビルにて第2回ZESDAゼミナールを行いました。f:id:ZESDA:20170225143451j:plain

第1回に引き続き「オックスフォード・ケンブリッジ大学院の入り方」ということで、実際にオックスフォード大学院に合格した当法人代表の桜庭から、日本の大学受験とは根本的に異なる試験への戦略について、予備校やネットで語られることの少ない情報をお話しさせて頂きました。

今後も、ZESDAゼミナールは開催予定です。残念ながらご都合の悪かったみなさま、次回以降の参加をお待ちしております。

【活動報告】キッズ・マネー・ステーション主催「2017年日本の教育は、ダイジョーブ!?」に参加いたしました。

2017年1月15日、キッズ・マネー・ステーション主催のイベント「2017年 日本の教育は、ダイジョーブ!?」にZESDAスタッフが参加いたしました。
今回は三ヶ国(アメリカ、チリ、インド)の社会人、留学生からお話を伺いました。


まずは現在JETプログラムにて日本の高校で英語を教えているアメリカ出身のアレックスさんからのお話しです。

f:id:ZESDA:20170127213627j:plain


アレックスさんはアメリカの大学で東アジアについて学習し、マネジメントについて学ぶために一橋大学に留学されました。アメリカ人の留学率は10パーセント程度とのことです。
アメリカも日本と同様に大学入学の際に、多くの学生が教育ローンを利用しています。公立大学で年間250万円、私立大学で500万円かかるとのことです。そのため教育ローンは学生にとってかなりの負担であり、平均して270万円の負債を抱えた状態で卒業する。とのことでした。

アレックスさんが日本の高校でALT(外国語指導助手)として働いた際に驚いたことは、アクティブラーニングの違い、日本の学生が議論をほとんどせず、受け身的に授業を受けていたこと。とのことでした。

最後にアレックスさんから日本の言語教育へのアドバイスとして「アウトプットの機会を増やし、トライアンドエラーの繰り返しを受け身的授業から抜け出さないといつまでも自分の意見を話せるようにはならない。」とのことでした。


続いてチリ出身のマリセラさんです。

f:id:ZESDA:20170127213655j:plain

マリセラさんは2009年に高校のエクスチェンジプログラムで来日されました。チリの大学に入学しましたが再び日本の早稲田大学に入学されたとのことです。
チリでは高校卒業まで同じ学校のため、同級生同士はとても仲良くなりフレンドリーな関係であるが、日本にはそれ程フレンドリーさがないとのことでした。
学費は高校までは無料。専門学校または大学は学費が必要なるため、ローンや自分でアルバイトなどしながら払うか、奨学金などを利用する。とのことです。

チリの大学では毎週テストがあり難しい。日本の大学は入るのは難しいが、入ってからは就活に時間を掛け、教育には目がいかない現状がある。
大学で経営学を学んだが、社会に出たら営業職に就いたりと、専攻と関係ない仕事に就くことが日本では多くあるが、チリでは大学で学んだことと仕事が一致するため(テクニカルスクール、プロフェッショナルスクールの充実)勉学に一生懸命である。とのことでした。

日本の教育へのアドバイスとしては「英会話をもっと授業に入れるべきである。日本人は英語を書くのも読むのも得意だけど、実際に海外に行った時に話せない。(チリでは幼稚園から英語教育が始まる)また、日本の部活動は練習、上下関係など厳しすぎる。ストレスがあり会話に支障が出てくるため、萎縮してしまい限られたコミュニケーション能力しか身につかない。」とのことでした。


続いて、インド出身のランバリ・カールティックさんです。

f:id:ZESDA:20170127213720j:plain


カールティックさんは東京外国語大学にて1年間日本語を勉強して東京工業大学に入学されました。
色々と課題活動をこなすことが好きで、新しいことにチャレンジするのにやりがい感じている。趣味はクリケットやダンスなどであり、さらに質を高めるために練習中。とのことでした。

インドの学校では年に3回演劇など観劇し、その後生徒同士で「なぜその役が好きか?」などディスカッションをする授業や、イーラーニングに力を入れ視覚的に分かりやすい授業が行われているとのことです。

また、インドの高校ではボールド(カリキュラム)があり「国際ボールド・国立ボールド・州ボールド」と別れ、それぞれ教育内容が違うとのことです。
国際ボールドが科目数が1番多く、グローバル人材を育成するため応用力が鍛えられるとのことです。留学では国際ボールドの方が成功しやすい。とのことでした。

日本人へのアドバイスとしては「もっと課外活動に力を入れて視野を広げるべきだ。」とのことでした。


最後にキュリオ・ジャパン代表取締役の今西さんよりお話がありました。


f:id:ZESDA:20170115155721j:plain

キュリオ・ジャパンさんでは日本の名門大学に通う優秀な留学生を子供たちと自宅で遊びべる「グローバルシッターサービス」や「親子留学」の斡旋などをされているとのことです。
異文化コミュニケーション、多様性、英語教育など、日本のグローバル化に必要な教育は、早ければ早いほど良い。そのためにその環境を作ることが大切である。と仰っていました。

私たちZESDAでも留学生や日本で働く外国籍の方と関わることが多いですが、皆さんから同様の意見を聞くことが多いです。
教育のシステムを全て変更することは難しいですが、学校とは別の場所でも子供たちや学生が早い段階から、異文化に触れ、学んだ英語を活かせる場が増えるといいのと思いました。


f:id:ZESDA:20170228182147j:plain


今回のイベントでも貴重なご意見をたくさん伺うことができました。ZESDAの今後のイベントを企画する際に参考にさせていただきたいと思います。
また、新たな出会い、繋がりも増えました。関係者の皆様、ありがとうございました!

産学連携が成功するための条件とは何か 〜イノベーションと企業家(アントレプレナー)、その可能性の中心〜

先週、政策研究院大学にて、2月20日(月)の18:30より、研究イノベーション学会・主催、ZESDA・共催により、第3回 ブロデューサーシップ論と実践(“個人・若者・女性活躍時代”「プロデューサーシップ論」講座)が開催されました。

産学連携の現状と問題点、その可能条件等について、伊藤正実先生(群馬大学研究・産学連携推進機構教授)と、西村吉雄先生(元日経エレクトロニクス編集長)の両先生をお迎えし、大変貴重なお話を賜りました。

伊藤先生(「産学連携による価値の創出をめざして〜その陥穽と克服への道程〜」)、吉村先生(「産学連携の現状と課題」)のそれぞれのご講演を拝聴し、当ブログ記事の筆者なりに、産学連携についての多岐にわたるお話全体のごく一部分ではありますが、特に触発された問題点について整理しました。

産学連携について、より理解を深めるために、筆者なりに、以下の二つの問いを立ててみました。

⚪️第一の問:そもそも産学連携の目的は何であるのか。

⚫答:産学連携の目的はイノベーションの実現である。

※以下の説明は、主に西村先生のご講演内容から気付いた点について纏めたものです。

イノベーションの正確な定義について、改めて捉え直す必要があります。なぜならば、イノベーションとは技術革新のことである、との一般的通念が広く流通しており、しかし、それはイノベーションについての正しい理解ではないからです。

イノベーションとは、科学や技術とは直接の関係はありません。研究成果や技術革新は、それだけではイノベーションとは言えません。

イノベーションは社会経済上の概念として捉えるべきものであり、それがイノベーションという言葉に含まれている正しい意味・内容だからです。

イノベーションを実現するためには、新たなノウハウ、斬新なアイディアなどの新知識(未来の価格体系)を、競争相手よりも先に知るということ、つまり「知」が必要です。しかし、それだけでは、十分ではありません。現実の市場(消費者)に、新たなノウハウ、斬新なアイディアなどの新知識により創造された魅力的な商品やサービスを送り届ける者、つまり「媒介」する者が必要です。この市場への媒介行為を実行する経済主体が企業家(アントレプレナー)と言われる者です。

経営学の祖であるP.F.ドラッカーは、イノベーションについて以下のように述べています。

“Entrepreneurs innovate. Innovation is the specific instrument of entrepreneurship. It is the act that endows resources with a new capacity to create wealth. Innovation, indeed, creates a resource.”

「企業家(アントレプレナー)はイノベーションを行う。イノベーションは企業家に特有の道具である。イノベーションは富を創造する能力を資源に与える。それどころか、イノベーションが資源を創造する。」
(ドラッカー著「イノベーションと企業家精神」、上田淳生訳、p8、ダイヤモンド社)

イノベーションを実現するためには、「知の創造」と「市場への媒介」の双方の効果的融合が不可欠です。「知の創造」を大学が担い、「市場への媒介」を産業界が担います。典型的にはこれら二者による産学連携によってイノベーションの創出が可能となります。

世界のイノベーションの歴史を振り返ると、「知の創造」は1920年頃まではエジソンのような個人発明家が、1920年代から1980年代にはナイロンの発明がブームの発端となって大企業の研究所が担いました。そして1980年代から現在においては、シリコンバレーに代表されるようにベンチャー企業と大学の連携によってイノベーションは実現されています。このようにイノベーション史をあらためて捉え直すと、現在の時点では、一般にイメージされるところの「大企業付属研究所によるイノベーションの達成モデル」は過去の観念であることが理解されます。

日本のイノベーション政策では、このイノベーションの概念が、大抵の場合、技術革新それ自体のみに限定されたものとして誤解されて理解されており、それが主因となって企業家(アントレプレナー)ではなく、大学等の研究・技術開発への支援(「知」への支援)に偏ってしまっているのが実情です。しかし、イノベーションが「知の創造」と「媒介者」との協働により実現されるものであるならば、むしろ支援を更に強化すべきなのは媒介者である企業家(アントレプレナー)であることは明らかです。特に国や金融機関等による資金援助、融資制度等をはじめとした企業家(アントレプレナー)への支援状況がかなり不足していると言わざる得ません。

⚪️第二の問:産学連携における企業側の制約条件は何であるのか。
⚫答:産学連携の目的がイノベーションの実現であるならば、「媒介者」は管理経営型企業(再生産管理型企業=非企業家)ではなく、企業家(アントレプレナー)でなければならない。

※以下は、主に伊藤先生のご講演内容から気付いた点について纏めたものです。

現在の日本の産業界は、当然のことながら全ての企業が企業家(アントレプレナー)的な性格をもつわけではありません。既存事業の管理経営型企業がほとんどを占めます。管理経営型企業は、再生産管理型企業であり、新規事業の開発はほとんど行わずPDCA型改善のみにしか関心がありません。※脚注1を参照

ここで改めてP.F.ドラッカーの企業家(アントレプレナー)の定義を確認してみましょう。

“Entrepreneurship rests on a theory of economy and society. The theory sees change as normal and indeed as healthy. And it sees the major task in society — and especially in the economy –- as doing something different rather than doing better what is already being done.” Drucker,”Innovation and Entrepreneurship” p25

「企業家精神の原理とは、変化を当然のこと、健全なこととすることである。
企業家精神とは、すでに行っていることをより上手に行うことよりも、全く新しいことを行うことに価値を見出すことである。」
(ドラッカー著「イノベーションと企業家精神」、上田淳生訳、p3、ダイヤモンド社)

“The entrepreneur always searches for change, responds to it, and exploits it as an opportunity.”  Drucker,”Innovation and Entrepreneurship” p28

「企業家(アントレプレナー)は、状況の変化と、その変化への効果的な対応と、変化をチャンスととらえ、その効果的活用について常に意識している。」
(筆者訳)

伊藤先生は、ご講演の中で、企業家(アントレプレナー)のみが産学連携が可能であり、当該企業が産学連携が可能な企業かどうかは、以下のような問いを立てることにより明らかとなる、と述べられました。

(1)企業に新規事業創出や既存事業の高度化の意欲があるのかどうか?
(2)企業の経営資源に余裕があるかどうか
(3)経営者の人柄、資質(特に中小企業の場合)
(4)大学側のパフォーマンスを理解・評価できるか?
(5)大学の文化をある程度理解できているか。
(6)事業全体のプランを主体的に企画できるかどうか?
   ・新規事業創出のための研究開発に対して主体的に取り組めるか?
    (大学に研究開発を丸投げはできない)
   ・大学側に“やって欲しいこと”をきちんと説明できるか?

以上のように産学連携が可能な企業の条件を挙げられた上で、主に、企業内における研究開発体制の有無と売上規模から、現状の企業をカテゴリー1から3に分類されました。

【カテゴリー1】
専任の基礎研究に従事する研究者が在籍している売上高3,000億円以上の大手企業。

【カテゴリー2】
基礎研究を充実化させるよりも、研究開発部門には、主に商品化可能な実用的領域での技術開発などに取り組む技術者等を配置する。売上高20億円から3,000億円程度までの大手、中堅企業。

【カテゴリー3】
研究開発に専従している職員がいない場合が多い。売上高20億円以下の中小企業。

伊藤先生は、当該企業が企業家(アントレプレナー)的性格をもつ企業かどうかや、企業規模等の諸々の制約を客観的に整理・分析すれば、ある程度、日本での産学連携のためのストーリー・イメージをより明確に描くことが可能である、と提案をされました。

西村先生は、世界のイノベーション史において現在は如何なる歴史段階にあるのかを考察した場合、アメリカでは、まさに1980年代以降、インテルに代表されるように、ベンチャー+大学の産学連携によりイノベーションが実践されている、という現状を述べられました。特に、歴史的に偉大なイノベーションを達成したインテルは、かつての企業付属研究所モデルではなく、実際の工場での技術者による生産ライン上での試行錯誤と、解決すべき問題が発生した都度毎のきめ細かな企業と大学の研究室との相互連携によりイノベーションを実現させました。インテルの成功は、<ベンチャー+大学>の産学連携の代表的な事例です。

演者お二人のご講演の後、主に日本の政治経済、文化、歴史などの特性を踏まえた効果的な産学連携はいかにあるべきかというテーマについて、来場された聴講者の方々を交え活発な質疑・議論がなされました。

※脚注1
 PDCA型改善と、イノベーションとの違いについては、以下のブログ記事を参照。
 「ZESDイノベーション研究ノート(1)メタエンジニアリングが、エンジニアリングとは根本的に異なる点についての考察」
zesda.hatenablog.com

Ms. Avena Tan より 「What does “Global Jinzai” mean? – think together with a young professional from Singapore(グローバル人材ってなに?~シンガポール出身の若きプロフェッショナルと一緒に考える~)」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第32回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ株式会社自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。

2月11日(土)の15時から開催した2017年最初の第32回PIPDセミナーは、シンガポールから上智大学大学院へ進学し、日本の大学生と同じ就職活動を経て、日系商社に入社されたAvena Tanさんをスピーカーとしてお招きし、「What does “Global Jinzai” mean? – think together with a young professional from Singapore(グローバル人材ってなに?~シンガポール出身の若きプロフェッショナルと一緒に考える~)」をテーマにお話しいただきました。

今回も株式会社Click Net 社長の丸山剛様、並びに社員の皆様のご厚意で、セミナー会場として同社が主宰する「まなび創生ラボ」をお貸し頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。有り難うございました。

プレゼンテーションはAvenaさんの自己紹介から始まりました。引っ越しの多い一家で育ったAvenaさんは、中国本土で生まれた後、香港へ移り、何度か引っ越しをしてから、シンガポールへ住むことに至ったそうです。こうした経験は、Avenaさんが後に日本への留学を決意するうえでのきかっけにもなったそうです。
シンガポール人は、同じ環境で、同じ教育を受けて育つため、同質のバックグラウンドを持つことがほとんど」とAvenaさんは指摘します。そうした中、中国、香港、シンガポールと様々な環境で育ってきたAvenaさんは、他のシンガポール人たちと自分との差別化を図りたいと考えるようになり、多くのシンガポール人が選ぶアメリカやイギリスのような英語圏ではなく、日本に留学することを決めたそうです。数ある国の中でも日本を選んだのは、
①当時シンガポールの日本人コミュニティに関わる機会があり、そこで出会った日本人の方々に刺激を受けた、
②日本が東南アジアへ多額の投資を行っていることから、日本企業は自身の経験を活かすことができそうだと考えた、
といった理由があったとAvenaさんは振り返ります。また、Avenaさんは日本の文化にも関心が高く、特に「コタツ」が好きということも、日本を選ぶ決め手となったそうです。

今回のセミナーは、スピーカーであるAvenaさんと昨年夏に2年間の米国留学から帰任したCrossoverスタッフの二宮聖也との対談、そして参加者同士のディスカッションという、これまで以上にインタラクティブな形式で行われました。対談及びディスカッションは、大きく以下2つのテーマに沿って進みました。

【Session1】
What does global Jinzai mean in the Japanese context?
(グローバル人材とはそもそも何か?)

Session1では、「グローバル人材」という言葉に焦点を当て、「そもそもグローバル人材とは何か?」についてAvenaさんと二宮との間で対談を行った上で、参加者同士で「自分はそういう人材か?」、「そういう人材となるには何を変える必要があるか?」という視点で議論を行いました。

対談は二宮からの「なぜ近年、グローバル人材という言葉が話題に上ることが多いのか?」という質問でスタートしました。現在日本の商社に勤務するAvenaさんは、自身の会社を例に挙げながら、海外に多くの支店、支社を持っている日本企業の場合であっても、グローバル人事のシステムがないなど、社内は非常にdomestic(内向き、国内中心)な傾向がみられる点を指摘しました。会社として「現状を変えていこう」という意欲は感じ取れる一方、会社として「グローバル人材」に期待する役割が明確になっていないとも指摘。この点、Avenaさんが上司に「外国人である自分に何を期待しているのか」と尋ねたところ、「日本人のスタッフと同様の役割を果たして欲しい」という返事であったそうです。「内向きな会社の現状を少しでも変えていけるように努力したい」とAvenaさんは笑顔で述べていました。

「グローバル人材を目指す人へのアドバイスは?」という質問に対して、Avenaさんは「“Open Mind(広い心)”を持つことが大切ではないか」と強調されました。また、「そもそも“グローバル人材”という言葉自体、海外では耳にすることがなく、日本国内でばかり語られるはやり言葉ではないか?」と指摘したうえで、以下のように、“グローバル人材”を定義されました。

日本では、“グローバル人材=英語を話す人”、“海外留学を経験したことのある人”、あるいは“日本にいる外国人”を指すように見受けられるが、海外に行ったことのない日本人でも十分、“グローバル人材”になることができる。」
「私が考える“グローバル人材”とは、英語を話せるといったスキル面に由来するのでは必ずしもなく、変わりゆくビジネス環境、人々の考え方に適応していくFlexibility(柔軟性)、Adaptability(順応性)を持った人材ではないか。」

ここで、対談の内容を踏まえつつ、参加者同士で“What does global Jinzai mean in the Japanese context?What do you need to change?”についてのディスカッションに移りました。約10分のディスカッションでは、「海外でも日本人同士で固まってしまう傾向」や、「言語だけでなく、非言語面の文化的なコミュケーションの仕方」についても改善が必要ではないか、グローバル人材を採用する戦略を明確にすべきではないか等の意見が活発に出されました。

【Session2】
How should individuals change to create a better workplace for both foreign and Japanese workers in Japan?
(私たち「一人一人」はどのように変わっていくべきか?)

Session2では「グローバル人材であろうとなかろうと、今後、日本人が外国人と共生していくことが求められる社会において、私たち一人一人がどのように変わっていくべきか」をテーマに議論を行いました。初めに、Avenaさんが日本で過ごす中で感じた日本社会へのフラストレーションや葛藤について、モデレーターの二宮と対談を行い、その内容を踏まえ、参加者同士、私たち一人一人が外国人・日本人の双方にとってwin-winな職場環境、コミュニティを創り出すために、どういうアクションをとっていくべきか、そして「私たち」は明日から何ができるか、という議論を行いました。

初めにAvenaさんから、自身の日本の企業で働く中で感じた葛藤について共有頂ききました。歴史ある日本の商社で働くAvenaさんは、「日本人らしくあること」と、「外国人らしくあること」のバランスを失わないように常に気をつけているとのことでした。つまり、日本企業の本社で働く以上、日本社会に適応していく必要がある一方、自分は「完全な日本人」にはなれず、また周囲からも「完全な日本人」として扱われない中で、外国人としてのバックグラウンドを活かすためにどう振る舞うべきかを考えている、とのことです。

そうした中で、自身が「外国人であること」を周囲に認識してもらい、また、完全に日本人と同様に振る舞うことはできないことを理解してもらえるように努めている、とのことです。例として、社内では、ほとんど敬語を使わないようにしていることを挙げていました。敬語を使っても日本人のような「正しい」敬語ではなく、違和感を与えてしまう、外国人が使っていたら軽く笑われるだけで済むが、日本人が使っていたら間違いなく注意されるような表現になってしまうために意図的に避けていると話していました。一方、日本社会に順応しようと、コーヒーを淹れる、コピーをとる、デスクの掃除等、日本人の新入社員、特に女性が会社の風習として行っていたようなことは積極的に行うことを心掛け、また日本人が行う立ち振る舞いについては常に観察し、勉強しているそうです。他方、そうした日本の文化に順応する姿勢を見せながらも、「“自身はあくまで外国人である”と示すことは忘れないようにしている」と強調されました。

日々、暗黙のルール(protocol, unwritten rule)に気を付けながら生活しているというAvenaさんの話を踏まえ、モデレーターの二宮が、アメリカ留学の際に、自分が初めて社会的少数者(social minority)となったことをきっかけに、同じマイノリティである外国人学生によるグループを組織しアクションを起こした経験を述べた上で、参加者に「How should individuals change to create a better workplace for both foreign and Japanese workers in Japan? What can you do from tomorrow that will make a difference?」と質問を投げかけました。Session1に引き継ぎ、このディスカッションでも各チームで白熱した議論が行われました。

「外国人のスタッフと会話をするきっかけにまず挨拶をしよう」
「日本人、外国人がそれぞれコミュニティを作ってしまう傾向があるので、コミュニティ外でのコミュニケーションを行う」
「外国人(スタッフ)もより日本語を学ぶようにする」

こうした意見が飛び交う中、「普段は英語を話す機会があまりなく、英語に自信がない」というある参加者が立ち上がり「自分に何ができるか考えた結果、まず、この場で勇気を出して英語で意見を発信することから始めたいと思った」という声を会場に響かせました。Session1の議論でも指摘された「まず、自分のmind-setを変えていく」、という「グローバル人材」へのステップを越えていく光景に、多くの人が印象付けられました。

セミナー終了後には、ソフトドリンクとお菓子を用意した懇親会の時間を設け、約40名の参加者及びスタッフがそれぞれ親睦を深めつつ、本セミナーの議論を振り返り、熱い議論を続けました。
f:id:ZESDA:20170429201522j:plain

【活動報告】新宿NPOネットワーク協議会主催“第97回市民とNPOの交流サロン”での活動内容報告

2017年1月12日(木)新宿NPO協働推進センターで開催された“第97回市民とNPOの交流サロン”(一般社団法人新宿NPOネットワーク協議会主催)において、代表の桜庭が当団体の事業内容の説明をいたしました。

f:id:ZESDA:20170116165436j:plain

「市民とNPOの交流サロン」は、同センターの運営委託を受けている新宿NPOネットワーク協議会が、同センターを利用している各種団体間の交流を促進するために、定期的に開催している交流会です。ZESDAもスタッフMTGやイベントで同センターをよく利用させていただいております。

桜庭からは、なぜZESDAを立ち上げたのか、活動実績や事業運営の内容、組織体制、また今後の展望など、約1時間にわたって説明をいたしました。

f:id:ZESDA:20170116165528j:plain

今回の会に参加された方はご自身でNPO団体を運営されている方、区報をみて来られたサラリーマンの方などで、ZESDAのことを初めて知る方ばかりでした。

参加者の方とZESDA側の質疑応答も活発に行われました。「社会福祉系のNPO団体が多い中で経済系の団体の話は新鮮だった。」「これは本当にNPOなんだろうか...!?」というコメントも聞かれましたが、予算規模や収入源、人材の確保、団体運営で苦労した点などのトピックでは、特に話が弾みました。

f:id:ZESDA:20170112210029j:plain

今回は、ZESDAのスタッフMTGや勉強会などでいつも利用させていただいてる新宿NPO協働推進センターにて活動報告ができる貴重な機会をいただけましたこと、関係者の皆様に御礼申し上げます。普段のイベントの参加者よりも、少し年配の方々にもZESDAを知っていただく貴重な機会にもなりました。

今後もZESDAの活動内容について一般向けに説明する機会を増やし、多くの方に知っていただくことができたらと思います。

今年もZESDAは新たな活動にチャレンジしていく予定です。
引き続きご支援、ご協力よろしくお願い申し上げます。