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ZESDA's blog

日本の技術と世界のニーズをつなげるプロデューサーの支援・育成を通じて日本企業のグローバル競争力の強化を目指すNPO法人ZESDAのブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


お客様が欲しいのは『もの』じゃない?! (第6回ZESDAプロデュース・カフェ)

2013年4月13日、日本経済大学渋谷キャンパスにて第6回ZESDAプロデュース・カフェ「新しい市場のつくりかた」を開催しました。

今回の講演では、「新しい市場のつくりかた」の著者である、東海大学政治経済学部専任講師・三宅秀道氏を講師にお招きして、プロデュース論を「技術革新によらない、新しい文化の創造」という観点から学びました。

三宅氏は「『もの』自身には価値はない。ものに価値を持たせるのは『こころ』である」として、技術革新に偏った商品開発とは異なったアプローチを提示されました。


例えば、ファイン株式会社開発した「レボUコップ」というヒット商品は、コップの飲み口が斜めに切られています。初めてこの商品を見た人は、このコップは何のために使うものかわからず、何の価値も感じないでしょう。


しかし、「ケガや障害で首を曲げられない方は、普通のコップで飲み干そうとしても、飲み口が鼻にぶつかって飲むことができない。レボUコップは反対側が凹んでいるので鼻がぶつからず、最後まで飲み干すことができる」という話を聞いた途端に、その人の中でこの商品の価値が生まれます。

つまり、レボUコップという『もの』は何も変わっていないにも関わらず、レボUコップが開発された経緯を知って『こころ』が変わったことで、その人にとってレボUコップに初めて価値が生まれたのです。
このように、あたらしい市場をつくるのは、技術革新で『もの』を開発することだけではなく、新しい『こころ』をつくる文化創造が重要なのです。

そして、それには独自技術は必要でなく、中小企業でも十分にあたらしい市場をつくることができます。

例えば、現在ではプールで水泳帽をかぶるのは当たり前になっていますが、1970年代以前の日本では水泳帽をかぶる習慣はありませんでした。
これは当時、ゴム引布を使ったおむつカバーをつくる衣料品メーカーだった磯辺商店(現フットマーク)が、文部省がプール教育の導入を検討していたことに目をつけ、水泳教育で水泳帽をどう活用するかをまとめたカリキュラムと水泳帽のサンプルを全国の小中学校に送ったところ、全国で反響があり、水泳の授業で水泳帽が導入されるようになったからです。
その当時、磯辺商店は社員8人の家族企業でしたが、ダイレクトメールのサービスもなかったことから、社員総出で手紙を書いたそうですが、今では市場の9割を獲得するまでになりました。
これは日本の水泳の風景を変えるほどのインパクトのあった変化でしたが、その発端は社員が10名にも満たない中小企業による文化開発であったという良い一例です。


このような豊富な事例を紹介していただきながらの講演の第1部が終わった後は、第2部として参加者でチーム分けしてワークショップを行いました。

通常のプロデュース・カフェではワールド・カフェ形式のワークショップを行っておりますが、今回は、「普段不便に感じていることを解決するものを、針金などの小道具を使ってつくる」というお題で各チームで話しあって作品をつくってもらいました。


作業時間は30分と非常に短かったにも関わらず、「つり革に触らないで掴られるようにするmyつり革」「折りたたみ傘を傘たてにしまえる折りたたみ傘用傘たて」などユニークな作品ができ、三宅氏も驚かれていました。

三宅氏の講演で「市場をつくるのは、『問題』そのものを開発することである」という視点を参加者が得たことで、参加者が問題開発を発想できたからかもしれません。

カフェの後は三宅氏も含めて20名程度が参加して懇親会が行われました。今回に限らず、カフェ後には毎回、懇親会を行っていますので、普段は出会わない異業種の方と交流していただき、新たな気づきが得られる場をZESDAでは今後とも提供していきたいと思っております。

(NakiOtoko)