ZESDA's blog

グローカルビジネスをプロデュースする、パラレルキャリア団体『NPO法人ZESDA』のブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


スリランカアーユルヴェーダ体験記③

ZESDAブログをご覧のみなさま

ロンドン支部長の松枝薫(まつがえかおる)です。

前回は、数千年前の歴史や偉人が出てきたり、少々難しい話になってしまいましたが、アーユルヴェーダの施設にいざ行ってしまえばそんな難しいことは知らなくても大丈夫です。ただアーユルヴェーダドクター(国家資格保持)の言うままに、オイルマッサージを受け、施設で出される健康的な自身の体質に合った食事を食べ、早寝早起きをし、朝にヨガもすることになりますので、自然と体が「自分本来の状態」に戻っていきます。


▲毎朝必ず出てくるフルーツの朝食。別名緑の島とも呼ばれるスリランカは自然が多くフルーツも多様。写真はパパイヤとバナナ。


アーユルヴェーダ 驚きと気づき~では、アーユルヴェーダとは何なのかを大まかにご説明させていただきましたので、次はアーユルヴェーダ施設で何をするのかをお話しいたします。実際の施設で受ける施術の内容ですが、大きく下記3つに分類されます。


1. 体質の見極め
2.身体に溜まった毒素の排出
3. 体質に合った食事


今日は1.体質の見極めについてお話します。


1. 体質の見極め
ドクターによる、脈診と幾つかの質問で体質が見極められます。
驚くべきことに、ドクターは脈診と幾つかの質問でその人の体質や考え方の癖、昨日良く睡眠が取れたかどうか、リラックスしているかどうかなどを全て読み取ってしまいます。

~ドーシャの話~「ドーシャ」とは「カパ(水)」、「ピッタ(火)」、「ヴァータ(風)」の3つで成り立つ生命エネルギーのことです。
健康バランスが良い時は「ドーシャ」のバランスが取れていますが、このバランスが崩れると体調を崩すことがあります。
ヴァータ、ピッタ、カパ、誰しもが優位なドーシャがあります。
(ご興味のある方はこちらから診断できます。)
アーユルヴェーダ 体質チェック
アーユルヴェーダライフ  URL:http://www.ayurvedalife.jp/より

出典:Yoga Journal


私の場合だと、ピッタカパ体質。中肉中背。火には、光と熱の性質がありますので、「熱さ」や「鋭さ」、「軽さ」や「流動性」などの特徴を持っています。ピッタが過剰になると、完璧主義になりイライラしてしまうこともあるとのことで、多分当たっています。

次回は2.身体に溜まった毒素の排出についてお話します。

スリランカアーユルヴェーダ体験記②

ZESDAブログをご覧のみなさま

ロンドン支部長の松枝薫(まつがえかおる)です。

本日はアーユルヴェーダの歴史についてお話したいと思います。


アーユルヴェーダとは?~
日本では美容系の雑誌等で紹介されているようですので、オイルを使った若返りマッサージやヨガの一部?のように思っている方もいるのではないでしょうか。



施術後にはこれらの効果もあるので、上記の解釈は必ずしも間違っているわけではないですが、アーユルヴェーダとは、一般的にサンスクリット語で「生命」「寿命」を表す「アーユル」と、「科学」を意味する「ヴェータ」で、つまり「生命の科学」ということになります。現地のアーユルヴェーダの医師はもう少し深い言葉で、「Longevity(長寿) of Science(科学)」と言っていましたので、「長寿の科学」とも言えますし、マッサージよりも深い何かがあることは間違いないでしょう。


アーユルヴェーダ施設に植えられている植物。朝露や雨上がりが特に綺麗で癒されます。


アーユルヴェーダの歴史~
インドのブラフマンヒンズー教で宇宙の最高原理とされる)がインドの神々に口伝し、聖なるヒマラヤに集まった聖者達が口伝された内容を編纂したものといわれ、現存する伝統医学の中で世界最古だと世界保健機構(WHO)も認めています。

(紀元前3000年ごろ、インダス川流域で高度な文明が存在していたモヘンジョ・ダロの遺跡から、アーユルヴェーダの薬として使われたものが出土していた)。また、三蔵法師、お釈迦様(ゴーダマシッダールダ)なども学んだとされており、特にお釈迦様はアーユルヴェーダに詳しく、相談に来た人の病気を治し、悟りを開くために活用していたともされています。各国の仏教伝来と共に世界へ伝わり、日本でも奈良の正倉院アーユルヴェーダの薬草やスパイス、種々薬草帳が保存されているとのことです。実はアーユルヴェーダは日本人にとって、とてもゆかりがあるものなんです。


さて次回はアーユルヴェーダ体験についてお伝えしていきたいと思います。

スリランカアーユルヴェーダ体験記①

ZESDAブログをご覧のみなさま

ロンドン支部長の松枝薫(まつがえかおる)です。

今後定期的にこのブログにて、イギリスでの日常生活の様子、イベント、
また現地で出会ったユニークな方々を紹介させていただきたいと思います。


と言いながらなんですが、今回はロンドンの話ではなく、スリランカアーユルヴェーダ(インド発祥の伝統医療で約5000年の歴史を誇る)についてお伝えさせていただきたいと思います。このスリランカでの体験は、ZESDAの活動の地方創生、医療システム勉強会にも参考にできるところが多く、また日々の身体の不調を感じている方、仕事のパフォーマンスを上げたい方にも有効であると体感しましたので、ぜひご覧になってみてください。

~なぜ、スリランカ アーユルヴェーダ?~
かねてから個人的に興味のあったスリランカアーユルヴェーダを3週間受けに行ってきました。アーユルヴェーダはインド発祥の医療ですが、スリランカアーユルヴェーダを受けに行った理由は、近年インドのアーユルヴェーダは患者に必要がない治療を行う施設もあり、治療自体が硬直化していると伺ったので(もちろん適切に治療を施す施設も多くあるとと聞いています)、より外国人向けに柔軟に対応をしてくれると聞いたスリランカに行くことにしました。スリランカは基本的には仏教徒の国ですので、ホスピタリティも高く温和で親切な方が多くいました。


▲訪れたスリランカアーユルヴェーダの施設。自然溢れる建物と夕日が非常に美しく心身ともにリフレッシュできる

そもそもアーユルヴェーダって何?という方も多くいらっしゃると思いますので、次回はアーユルヴェーダの説明をさせていただきます。お楽しみに。

Dr. Nancy Snowより 「世界に対して日本のことをもっと伝えていくためにはどうしたらよいか? 」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第37回セミナー開催のご報告

NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ の協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。


7月14日(金)7時30分より開催された第37回PIPDセミナーは、広報外交の研究者で、京都外国語大学の教授のDr. Nancy Snow氏をお招きし、“How Japan Can Better Tell Its Story To The World.”というタイトルでお話し頂きました。
スノー博士の近著、「JAPAN’S INFORMATION WAR」のオーサートークの後、博士が用意した問いをもとに、参加者同士でディスカッションを行い、とてもインタラクティブな会となりました。
「JAPAN’S INFORMATION WAR」には、日本が自国について世界へ発信し、より深く世界と関わっていくためのアイディアが綴られているそうです。「WAR」という言葉は「戦争」というよりも、中国、韓国、東南アジア諸国との「競争(competition)」をあらわしているそうです。

スノー博士は、日本はアジアのライバルたちの間でより突出した存在であることをブランディングする必要性を訴えていました。また「WAR」という表現は、博士の代表作である「Information War(邦題:情報戦争)」に引っ掛けて採用されたそうです。

次に、民間人による”story telling(物語を伝える)”の大切さについて博士は訴えました。現・安倍内閣は世界に対し”Abenomics”や”Womanomics”など日本を印象付けることに一定程度の成功を収めたが、まだまだ世界での存在感はそのポテンシャルに比べるととても小さい、安倍首相の伝える日本のみが先行しそれ以外の日本の魅力が世界に届いていないと訴えました。
世界が知りたい『物語』は、それぞれの地域や人が作り出す実感に溢れた話や、一人ひとりの国民が語る日本のことであるとのことです。より世界に日本を印象付けるためには、国際的に活躍できる日本人を増やすとともに、日本の魅力を語れる能力を育てることであると述べられました。

以上の問題意識を元に、”What are Japan’s stories to the world?( 世界に伝えたい日本の『物語』は?)” “What are the most prominent Japanese values?(日本の最大の価値とは?)”という問いが観客に投げかけられました。
4~5名の小さなグループに別れ話し合い、内容を共有しました。日本の魅力は「平和」や「安全性」、トヨタに代表されるの「カイゼン」というマインド、新幹線の清掃員の無駄のない仕事ぶりなどが挙げられました。

トヨタや新幹線の事例は理想的なマネジメントとして世界でも高く評価されているが、いずれも日本人が自ら気づいたものではなく、他の国から指摘されて知ったものであるという意見も出されました。
これらの議論を受けて、スノー博士や会場からは、日本での快適な生活から離れ、外国へ行くことの必要性、英語でのディスカッションやダイアローグ、プレゼンテーションの機会を持つ重要性が共有されました。

会場にご協力頂いた株式会社クリックネット様にこの場を借りて、御礼を申し上げます。
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プロデューサーシップとは何か? 如何にすれば、それを知ることができるのか?(プロデューサーシップ・シンポジウム報告)

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去る5月27日(土) 〈研究・イノベーション学会、映像メディア学会 合同シンポジウム(ZESD共催)〉『プロデューサーシップ、ローカルコンテンツと地方創生』が開催されました。

冒頭、数名の方の基調講演の後、前半は、主にプロデュース理論を中心として、また、後半では実際に事業を展開されている方々による具体例を交えた起業および事業の実践論などがシンポジウム形式で討議され、来場者とも活発な議論が交わされました。

論じられたテーマや実際のプロデュース体験談など、非常に多岐に渡るため、ここでは、その個々の細かい部分について報告は割愛されていただき、一聴講者として全体の感想などを述べさせていただきます。

本シンポジウムのタイトルは『プロデューサーシップ、ローカルコンテンツと地方創生』というテーマです。ここで一つ、気づく点として、なぜ敢えてローカルコンテンツなのか?という点と、なぜ、今、地方創生なのか?という点です。

本シンポジウムのタイトルに沿った形で、桐山登士樹氏の「デザインによる富山県プロデュース」や、「熊本の味を世界に発信」というテーマで発表された重光悦枝氏、中東に日本の食文化と伝統工芸を組み合わるという合わせ技で「日本文化」を売り込むことに成功した石田和靖氏などをはじめとした、様々な事例が紹介されました。また、登壇されたそれぞれの方々の豊富なプロデューサー経験に基づいた「プロデュースとは、そもそも何か」というテーマで活発な討議がなされました。

また、プロデュースそれ自体に関する様々な論点について、以下のような発表をいただきました。

菱沼宏之氏からは、プロジェクトの旗振り役としてのプロデューサーの役割の重要性についてのご説明をいただきました。
原島博氏からは、ご自身の長年の豊富な経験から、プロデューサーとして立つ3つの条件として⑴人的ネットワーク力、⑵未来へのビジョンが描けること、そして⑶人徳の重要性が挙げられました。
島田一雄氏からは、学生を対象とした「衛星設計コンテスト」の企画運営を通じた25年にわたる理系人材教育の実践を通じ、プロデュース活動における夢とロマンの重要性について述べられました。
また、中原新太郎氏からは、日本的組織風土が如何にプロデュース活動の疎外的状況を作り出しているのか、それを打破するための提言などが述べられました。
当団体(ZESDA)の桜庭代表からは、プロデュースにおけるカタリスト(触媒)となる人材の機能について理論的に整理したプレゼンを行い、それについてもパネリストとの活発な討議がなされました。


改めて本ブログ筆者なりに、そもそもなぜ今、「プロデュースの意味」についてこれほどまでに関心が持たれるのか、ということについて以下のように考えてみました。

(1)会社・役所などの組織の中でただ与えられたことを受身的にこなすのではなく、もっとそこで働く個人が主体的かつ前向きにものごとに働きかけて、社会にとって必要とされるような存在となってゆくという姿勢が求められている、ということ。

(2)いままでのように組織に埋没した形で、あるいは、ただ世の流れの中で、惰性的に社会生活、仕事、あるいは市民生活を続けていって良いのか、という疑問と、漠然とした不安の存在。

(3)そのような時代状況になかで、もっと深く何かを主体的に創造すること、その重要なキーワードとして、プロデュースという言葉と、果たしてそれは本当のところ一体何なのか、という答えを探りあてたい、という欲求の高まり。

以上のような理由からではないでしょうか。

今回のシンポジウムでは、長年プロデュースの第一線で活躍されてきた方々のプロデュースとは何か、ということについての経験的実感について鋭い切り口で述べられていたことが印象的でした。

これらのお話をお聴きした中で、本ブログ筆者が気づいた大まかな点としては、以下です。

(1)プロデュースの成功には、プロジェクトを取り巻く様々な条件、例えば、時代状況や、それを実現する上での人材を得ているのかどうかや、何よりもベストのタイミングでそれを行っているのか、などのプロデューサーの実力もさることながら天運などの要素も大きいということ。

(2)ことを為すことにより、結果的に後から振り返ってみた時に、自分がプロデューサーであったことに遅れて気づく、といういこと。つまり或ることを目標にプロデュースをやろう、という目的論ありきでプロデューサーになるのではなく、やってきたことを後から振り返ってみると当該の仕事が恐らくプロデュースといえるものであったことがかなりある、ということ。(丸山茂雄氏のプレゼンより)

(3)プロデュースという行為、あるいはプロデューサーになること、について理論化することはできない。プロデュース行為のあまりにも多くの事柄が、言語化できない暗黙知次元の要素によって構成されており、人は現場での実践を経験することでしかプロデュースの本質を理解できないし、そもそもプロデューサーになることもできない。

主には、以上の3点であろうかと思いました。

大谷由里子氏は、プロデューサーとなること、プロデュースすることとは、生死をかけた次元からくる心の底から湧き上がる熱い情熱と自己の本心にそこはかとなくある核としての欲望を再確認し自覚することが何をおいても第一である、と述べられました。ある種の限界状況に身を置くことをイメージでもって想起して、臨場感の中で真剣に考える、ということが必要であると。その一つの方法として、大谷氏が主催されている志縁塾(次世代のためのプロデューサー養成のための私塾)の授業の一環で、戦跡などを訪れ、そのようなものが感じられる歴史上の生々しい素材に敢えて直接向き合うことで学びを得ている、とのことでした。

そして何よりも、明確な答えを得ることがなかなか困難な対象である「プロデュースとは何か」というテーマについて問い続けることと、ただ考えるだけではなく具体的実践の場面で、自分の可能性と制限性の範囲内ではありますがプロデュースに一歩足を踏み出すこと、試行錯誤を前向きに捉えて挫けることなく積極的に小さなプロデュース経験を積んでいくことが何よりも重要である、ということへの気付きを得ました。まだまだ不確かではありますが、それの地道な積み重ねにより、いずれ大きな機会が訪れた時の成功の肥やしとなると思われました。

恐らく、このような会に参加することにより目には見えない形ではありますが、プロデュースについて少しずつイメージを形成していくことは、今後の大きな収穫得ることが出来るためのキッカケとなります。

そのような意味で、本シンポジウムに参加した意義は大いににあったと思います。また、機会ある毎に、つとめて参加する意義は十分にあると思いました。