ZESDA's blog

グローカルビジネスをプロデュースする、パラレルキャリア団体『NPO法人ZESDA』のブログです。

プロデューシング・システムを創ることで、日本経済の活性化を目指す、NPO法人ZESDAのブログです。


ZESDA共催 北原茂実医師講演会 「医療経団連構想と輸出産業としての医療について」

2015年4月26日都内会議室にて、医療経団連設立準備員会主催、NPO法人ZESDA及び医療システムデザイン勉強会後援の下、北原茂実医師の講演会を開催いたしました。

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テーマは「医療経団連構想」と「輸出産業としての医療」でした。

参加者は約60名、8割が医療に関連する企業や医療従事者でした。

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まず、北原医師より、日本が抱える団塊世代後期高齢者となる「2030年問題」の背景と現状、
特に人口構成や現行法規に関する説明がなされました。

北原医師は、「このまま何も変えないことには大きなリスクが存在する」と述べられ、
その解決策として、医療を産業として海外に輸出すること、
そのために必要となる「医療経団連」の構想についてお話がありました。

医療経団連構想は、医療産業の海外輸出のためだけでなく
医療を基軸とした「地方創生」の実現においても大きな役割を担うものであり、
その具体的な方法についても、踏み込んだお話がありました。

最後は約40分間にわたり参加者との質疑応答が行われました。


今回のご講演での貴重なお話を基に、今後もZESDAでは、多様な取り組みを通じて日々活動して参りますので、応援のほど宜しくお願い致します。

大澤教授訪問(第2回:2015年1月9日)  「イノベーション・ゲーム」とは?

2015年1月9日、ZESDAスタッフは、「チャンス発見学」やゲームを利用してイノベーションを導く方法を研究する東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻大澤幸生教授の研究室を訪問しお話を伺ってきました。2014年11月22日の訪問に続く2回目の訪問となります。

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(大澤研究室の様子)


イノベーションゲームとは?

新しいチャンスを発見したり、ある問題のまったく新しい解決方法を発見したりする過程では、現実の制約や条件をどんどん見つけて、それらを克服していくことが必要となります。大澤研究室では、このプロセスに遊びの要素を取り入れゲーム形式にした「イノベーションゲーム」を開発しています。

イノベーションゲームでは、参加者は「起業家」か「消費者」のいずれか、あるいは両方の役割を携えて発言します。起業家は、既存の知識や技術などの要素がどのように関係し合っているかを、前回訪問時にお伺いした、「キーグラフ」“Key Graph” などによって可視化したゲーム盤を見ながら、要素(基礎カード)を組み合わせた製品やサービスの案、その希望価格を示します。一方、消費者側は、示されたアイデアを高く評価する場合は購入しますが、そうでない場合はアイデアの価格を下げる要求を出したり、質を上げるための改善を促したりします。この際には、多少厳しい質問や批判が行われても、ゲームであるという前提があることが、それらが許容される雰囲気を生んでくれます。最終的には、起業家は獲得金額を競い、消費者は購入したアイデアの質(新規性、有効性、実現性等)をプレゼンテーションすることによって競います。場合によっては、起業家、消費者の他に、ディーラーや投資家という役割を加える場合もあります。(イノベーションゲームについては、

イノベーションの発想技術―ゲームでひらくビジネスチャンス

イノベーションの発想技術―ゲームでひらくビジネスチャンス

に詳しく記載されています。)

またこのイノベーションゲームは、各人が持つ知識を持ち寄って新しいアイディアや潜在的なニーズを考えるグループワークであるという点で、ZESDAが行った「クロスカルチャーゲーム」とも類似点が見られるものです。そこで先生には、我々が行ったクロスカルチャーゲームの手法の説明をした後に、その違いを中心に、イノベーションゲームについてのご説明とZESDAで行うニーズ精査のアドバイスをいただきました。


今後共ZESDAは、大澤研究室とともに、海外ビジネスチャンス発見に向けた試行を続けて参ります。

大澤教授訪問(第1回:2014年11月22日) キーグラフとは?

2014年11月22日、ZESDAスタッフは、「チャンス発見学」やゲームを利用してイノベーションを導く方法を研究する東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻大澤幸生教授の研究室を訪問しお話を伺ってきました。


大澤先生は、データを解析し可視化することで、低頻度ではあるが重要なデータを抽出し、新たな関連性を発見する「チャンス発見学」という新分野を創始された方です。近々学科長としてもご活躍予定と伺いました。また、経済産業省の「データ駆動イノベーション協議会」に先生ご開発のIMDJ(Innovators Marketplace on Data Jackets ) が採用される等、政府及び様々な企業と協力しながらご活躍されていらっしゃいます。



■ キーグラフとは?

先生のご研究のひとつには、データとしては稀にしか登場しないが重要な事象=潜在的なチャンスを発見するために、「キーグラフ」というアルゴリズムを用いてデータの可視化を行うというものがあります。これは、データにはほとんど残らないけれども、人の意思決定には重要な影響を及ぼしているものを発見しようとする試みです。例えば、スーパーにビールを買いに行き、スルメが並んでいたのでほしくなったが、1枚1000円もするのでやめて、100円のスナック菓子を買った場合を考えてください。この場合、お手頃なおつまみは売れるのでデータとして残りますが、高いスルメは売れないのでデータには残りません。しかし、スルメが高かったからスナック菓子を買ったのですから、この1000円のスルメは購買行動の意思決定において重要な役割をしていると言えます。



このような、データとして表面に現れる頻度は低いけれども重要な事象を発見することは、非常に難しそうではあります。しかし、そのようなところにこそブルーオーシャンへ繋がる鍵が存在し、また革新的なアイディアを生み出すヒントが眠っているとも思われます。所謂ビックデータの解析によるパターンの抽出のみから得られるものではなく、データの有機的な繋がりや生活の文脈から出る主観を働かせてデータを見ることこそ重要なのではないかと、大澤教授は考えておられます。ZESDAもまたそのように考えています。




下図は、ZESDAがクロスカルチャー・ゲームで利用した、タイのニーズと、その詳細情報、及びそれらの情報に対するタイ人のコメントを今回大澤先生にお渡しして試作していただいたキーグラフのひとつです。例えば、タクシー等を使う背景に暑くて汗が「嫌」ということがわかります。また、この「嫌」が氷売りの露天商を嬉しさにも繋がることから、多様な嬉しさは暑さへの辟易に由来していることが分かります。



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(図)「好き」「良い」「嬉しい」などのいずれかポジティブなワードを含むトピックだけを集めたもの


今回は、キーグラフ用にデータを整理しておらず、取り除いた方が良い要素も含まれたまま試作していただきました。また、今回は数種類ご作成いただきましたが、データの切り口を変えることで随分と異なる印象のグラフが作成されることもわかりました。ZESDAは今後、ビジネスアイディアを出す際の下敷きとしてキーグラフを活用していくことを考えています。またこのほかにも、大澤教授から、ニーズヒアリングの記録方法やビジネスプランを作成していく方法において、極めて具体的な助言を頂戴しました。



今後共、ZESDAは大澤研究室とともに、海外ビジネスチャンス発見に向けた試行を続けて参ります。

第17回 プロデュース・カレッジのお知らせ

次回のプロデュース・カレッジの開催が決定しましたのでご案内いたします。

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第17回 プロデュース・カレッジ「2020年の東京をプロデュースする」
講師:PLANETS 編集長 宇野常寛

今回のプロデュース・カレッジでは「PLANETSPLANETS vol.9 特集:東京2020オルタナティブ・オリンピック・プロジェクトhttp://wakusei2nd.com/p9」の著者である宇野氏によるご講演と参加者によるワークショップを通じて、東京、そして日本の将来のビジョンを融合させた、新しい「何か」を皆様とご一緒に「創造」したいと思います。

ZESDAでは「社会に存在する課題の本質を捉え、柔軟なアイディアと多様なネットワークによってイノベーションを起こす人材」を『プロデューサー』と提唱しています。

是非、皆様も「プロデューサー」として、当日の参加者と供に多様なアイディアを繋ぎ合わせ、新たな「何か」を創造してください!


皆様のご参加をお待ちしております。


【開催概要】

イベント申し込み・詳細はこちらからお願いいたします
 →→→http://peatix.com/event/81801/

日時:2015年5月16日(土)開場12:30  開始13:00 終了16:00
  ※当日はワークショップを行いますので出来るだけ時間厳守でお願いします。
  ※イベント終了後、懇親会を予定しています。
   場所は確定後、お知らせ致します(予定:開始16:30~ 会費2000円前後)
場所:日本経済大学大学院 246ホール
   (http://shibuya.jue.ac.jp/campuslife/facilities.html
   JR山手線・埼京線湘南新宿ライン
   渋谷駅南改札西口徒歩3分

会費:社会人2000円 学生1000円
   ※チケット購入時にSNS等にてシェアしていただきますと会費は
    10%割引となります。

【講師プロィール】

宇野常寛(うの・つねひろ)氏 評論家。批評誌PLANETS編集長。

著書:『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎
   共著に濱野智史との対談『希望論』(NHK出版)、
   石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版
   企画・編集参加「思想地図 vol.4」(NHK出版)、
   「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)
   宇野常寛・責任編集「PLANETS vol.9 特集:東京2020
   オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト」http://wakusei2nd.com/p9
   など
   京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、
   立教大学社会学部兼任講師も務める。
   4月より日本テレビ朝の情報番組「スッキリ!!」のコメンテーターとして
   毎週木曜日にレギュラー出演されるなど、幅広く活躍中。  

米国大使館経済担当官より 「移民を巡る議論について」 Platform for International Policy Dialogue (PIPD) 第七回セミナー開催のご報告

f:id:ZESDA:20150209083031j:plain NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、(株)自由が丘パブリックリレーションズの協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。

 2月9日(月)朝7時30分より開催した第七回PIPDセミナーでは、ゲストスピーカーに米国大使館、経済担当官のBibi Voyles氏をお招きし、米国・欧州で議論が沸騰し、人口減少に悩む日本が今後向き合わなければならない課題-「移民受入を巡る議論」-についてプレゼーテンテーションを頂いた上で、参加者の皆様とオープンなディスカッションを行いました。

 Voyles氏のプレゼンテーションは、ニューヨークの玄関口に立つ「自由の女神」が見下ろす、「エリス島(Elis Island)」を巡るストーリーで始まりました。エリス島には、19世紀後半から約60年間、主にヨーロッパからやって来た約1,200万人もの移民が米国に入国するための最後の関門、「合衆国移民局」がおかれていたことで知られます。移民局の職員は、入国を希望する人々に健康状態から家族構成至るまで29の質問を投げかけ、これらの質問に全て合格しなければ米国入国を許しません。エリス島に、「希望の島」、「絶望の島」と言う正反対の呼称が付けられた所以です。

 Voyles氏は、「自分も、インド、中東、パキスタンの血を引くパキスタン生まれの両親の娘であり、これまで6大陸を移動しつつ3か国で暮らし、そして1990年代初頭に米国に渡った移民である」と紹介された上で、「私のような身の上は、米国では決してユニークな話ではない」と語り、以下の統計を紹介されました。即ち、米国以外で生まれた米国市民の米国総人口に占める割合は、1910年に13%、2010年は12.8%、そして2013年には14%と、過去100年間、殆ど変わっていないが、米国の人口自体が増えているため、移民数も現在4,100万人に達しています。また、移民の出身国を見ると、かつて中心だった欧州やロシアに変わり、現在はメキシコ(約30%)、中国(約15%)、インド(約10%)、フィリピン(約10%)と多様化、結果、総人口に占める白人の割合は1960年代の85%から2010年には64%にまで低下しているとのことです。また、米国東部はインド、中部はミャンマー、西部はフィリピンからの移民が多く、州により出身国の傾向は異なるとのことです。なお、米国の移民全体の75%は法的に認められた移民であり、25%は不法移民だそうです。

 こうしたデータを示した上で、Voyles氏は、米国内にある移民に対する反感・不満、例えば「税金を払わない」、「不法にアメリカにやって来て雇用や機会をアメリカ人から奪う」、「英語を習おうとせず、社会に適応しない」といった意見に対して、「移民は、農業、タクシー等の運送業、清掃やゴミ収集業等、必ずしも給与が高くない労働集約的な仕事に従事することで社会に貢献し、消費者として米国経済に貢献し、税金を支払って公共サービスを支えており、むしろ、米国社会が移民に依存している」と反論、「米国の移民は年間360億ドルの経済効果を生み出している」とのデータを紹介されました。また、犯罪の増加を理由に、移民受入れを恐れがちである人々の懸念に対しては、「移民と犯罪との間に明確な相関がない」ことが実証されていることを示しました。併せてVoyles氏は、多くの移民は出身国に送金をしていることから、移民の受入は世界全体の貧困削減や経済成長にもポジティブなインパクトを与えることが出来る、と主張されました。
 
 その上で、Voyles氏は、移民が抱える最大の問題として、米国生まれの米国人と比較して、教育レベルが低い傾向にあることを指摘。そのため、移民を巡る様々な問題や偏見を解決する鍵は教育にあり、現在、オバマ政権の政策である、移民に対するSTEM教育(S:Science, T: Technology, E: Engineering, M: Mathematics)強化を紹介されました。Voyles氏は、「米国のノーベル賞受賞者の4分の1は移民である」ことに触れながら、適切な教育を、「soup-to-nuts approach」で、即ち、生涯に亘って提供する機会を用意すれば、移民が自信の尊厳を高め、敬意を持った人間関係作りをすることが出来るようになり、また、スキルをアップさせ、才能を開花させることが出来るはずであり、これは、米国の経済力上昇にも直結すると述べて、プレゼンテーションを締め括られました。
 
 プレゼンテーション後の質疑応答では、移民に関する合法・不法の定義、米国における氏名に基づく差別の有無、日本における移民問題や、日本が米国の移民政策から学ぶべきこと、リーマンショック後の外国人や移民の就職支援に関して、活発な議論が取り交わされました。質疑応答の中で、Voyles氏はご自身のご経験から、米国は移民を受け入れており、自分が拒絶されたと感じたことはない、また、米国は移民に対して決してベストな政策はとっていないが、世界の中ではベターな政策を実行していると述べられました。

 今後もZESDAはグローバル・ネットワークを構築していくため、「Platform for International Policy Dialogue(PIPD)」を共催して参ります。
引き続き、ZESDAを宜しくお願い致します。